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2009.06.1302:07

ブーン達はマインスイーパに集められたようです 1巡目






―登場人物―


( ^ω^)ブーン。中学三年生

('A`)ドクオ。無職

(´・ω・`)ショボン。小学生

( ・∀・)モララー。サラリーマン

( ´∀`)モナー。定年後、無職

(*゚ー゚)しぃ。高校生

从 ゚∀从ハイン。大学生

( ゚∀゚)ジョルジュ。???

川 ゚ -゚)クー。薬の研究職

('、`*川ペニサス。???(パソコンが得意)




―プロローグ―


コンクリートの床
コンクリートの壁
コンクリートの天井

窓は無い
あるのは、男女合計10人の姿と、一つのパソコンだけ

パソコンは電源が入れられており、一つのソフトが立ち上げてあった






( ^ω^)この人たち、誰なんだお…

周りで、まだ寝ている9人の男女は、一人もみたことのある人はいない。
というか、僕自身、なぜここにいるのかが分からない
こんな場所に心当たりはない。

そしてこのパソコン…

('A`)どこだよここ…

僕がパソコンをのぞき込んでいると、後から男の声がした。
覇気の無い、下の中といった感じの顔

('A`)誰だお前?

彼が僕に問うた時、ほとんどの人間が起き出していた。
彼らも、お互いのことを知らないようだった。
中には小学生にしか見えない男の子もいる。

(;^ω^)な、内藤と申します
      僕はなんでこんな所にいるんでしょうか…




('A`)俺の名前は鬱田ドクオ。呼ぶ時はドックンで良い

(;^ω^)よろしくですおドクオさん

('A`)……

この人は、威圧感があるが、敵意を発していない。
仲良くなれそうだった

周りの男女も、お互いに名前を言い合っている。
なぜこんなに安心しきった雰囲気なのだろう。
不安がっているのは僕だけではないのか。

('A`)んー、拉致されたかな

ドクオさんのその言葉に、反応した人間がいた。
さっきから部屋の隅で振るえていた10台の女学生だ。

(#゚ー゚)なっ!なんで拉致されたってのに、そんなに落ち着いていられるの!?
    私は帰るから!
    そもそもアンタ達誰よ!
    ここはどこなのよ!




( ・∀・)まあ待ちなよ、お嬢さん

(#゚ー゚)あなたは誰?

( ・∀・)モララー。と呼んでくれ
     見ず知らずの他人に本名を教えるのは得策では無いだろうからね

それを聞いて僕は、ドクオさんに、というか、このメンバーの前で自分の名前を教えたことを後悔した。
きっとドクオさんの名前も偽名だろう。

( ・∀・)まあ名前なんてどうでも良いんだ
     まずは状況を確認して、落ち着こう

(#゚ー゚)そう……ね

(*゚ー゚)騒いでも、仕方ないし…そうするわ

半分パニックだった少女を、ここまで落ち着かせるとは、
このモララーさんは、かなり信頼できるかも知れない




(;^ω^)と、とりあえず皆さんの名前を教えてくださいお

('A`)なんだか、長期戦になりそうだしな

ドクオさんが不吉なことをつぶやいたが、僕はスルーした。
最初に口を開いたのは、さきほどの女学生だった。

(*゚ー゚)私の名前は「しぃ」。本名よ。見ての通り、女子高生です。

次々に自己紹介がされていく

(;´・ω・`)あ、あの、僕はショボンと言います。偽名です。
    山梨県の小学生6年生、です。

( ^ω^)ショボン君、安心して良いから、落ち着いてくれお?

(;´・ω・`)あ、ありがとうございます




( ・∀・)私はモララー。ま、偽名だがね
     とある会社でサラリーマンをしている。

(;´∀`)わ、私はモナーと申します。本名です。
      私もサラリーマンをしておりましたが、昨年定年退職しました

从 ゚∀从私は高岡。呼ぶ時はハインで良いぜ
    大学生だ。

川 ゚ -゚)私はクー。偽名を使わせてもらう。
    薬の研究職についている。

( ゚∀゚)俺はジョルジュって呼んでくれ。職業は……言わなきゃダメか?

( ^ω^)いや、言いたくないなら言わなくてもおkですお

( ゚∀゚)そりゃ助かる
    あんまり人様に言える職じゃないんでな

ちょっと、怖い人かも知れない
ジョルジュと名乗った彼の左眼から左耳にかけて、切り傷があるのが、余計怖く見せる




(;^ω^)僕は内藤と言いますお。いつもはブーンって呼ばれてるんで、そっちで呼んで下さいお
      中学生、3年ですお。

('A`)へえ?もっと年上かと思ってたな
   俺は鬱田ドクオ。苗字は嫌いなんで、ドックンって呼んでくれ

川 ゚ -゚)ドクオの職業は何だ?

('A`)…(ドックンって呼んでよ)……無職です

( ゚∀゚)wwwww

ジョルジュさんが、声を殺して笑っている。
自らの職を明かさなかった彼に笑う権利はあるのだろうか…

( ・∀・)で、そこの彼女は、まだ起きてないのかな?

モララーさんの指さした先には、首を縮ませて眠っている女の人がいた。
黒髪の綺麗な女性だが、壁に向いて寝ているので、ここからでは顔が見えない。
起こすのも悪いかと思ったが、ハインと名乗った女性が、眠っている女性の体を揺さぶって起こしていた




('、`*川ありゃ?あんた達誰?
    ここはどこなの?

('A`)誰かさんと違って、落ち着いた第一声だな

しぃさんが、ドクオさんを睨んだ気がした。
でも、ドクオさんの言うとおり、彼女の第一声は、まるで自分の部屋で起きたかのような落ち着きを持っていた。

モララーさんが、起きたばかりの彼女に自己紹介を促した。

('、`*川 んー?
     私はペニサス。趣味はいろいろ。特技はパソコン。年齢は二桁ね。」

とにかく、これでこの部屋にいる十人の男女、全員が起きたことになった。
いろいろ問題はありそうだが、この十人で、どうにかしてここから出ないといけない。







―1―



突然、部屋の天井にあったスピーカーから声が響いた。
というか、それまでは誰も天井にスピーカーがあるなんて気づいていなかった。

(;´・ω・`)な、なんでしょうか?

(;´∀`)お、落ち着くんだモナ。
      ルール説明。って言ってたモナ。
      きっとここから出るための条件みたいなもの……じゃないモナか?

( ・∀・)そうでしょうね。だから静かに聞いておくべきかと

モララーさんの一言で、皆が黙った。
スピーカーの声は、説明を始める

「まず、突然拉致などして、申し訳ない。非礼を詫びよう」

川 ゚ -゚)(このような小説を、読んだことがあるな)
( ・∀・)(こんな推理小説、読んだことあるなあ)




「君たちは、突然拉致されてどう思った?きっと驚いただろう」
「悲しんだり、悔しがったり、怒ったものもいるだろうな」

「だが、すぐには殺さないから、安心して良い」
「拷問なんてものも、私は好かないから、安心しなさい」
  _,
( ゚∀゚)……

「君たちがここから出られるようになる条件は、二つだ」
「一つは、我々の提示する条件をクリアすること」
「もう一つは、死ぬことだ」

('A`)ブーン。相手は思ったよりも過激じゃない。
   けどな、俺たちがピンチなのは変わりないんだ。油断だけはするなよ

僕は、ドクオさんの言葉で、少しだけ気を引き締めた。
油断は、禁物。

「君たちがゲームをし、クリアすれば君らの勝ちだ」

(*゚ー゚)それだけ?

「そうとも、単純明快だろう?」
「ああ、君たちの声はこちらにも届いているから、質問があれば受け付けよう」




(*゚ー゚)クリアすれば、帰してくれるんでしょうね?

「ああ、もちろんだとも」
「だが、君らの家まで、というわけには行かない。せいぜい最寄り駅くらいまでだな」

从 ゚∀从ゲームをしなかったら、どうなるんだ?

「君らは、殺される」
「その部屋の中でね」

( ^ω^)じゃあ、質問ですお。やるのは、何のゲームですかお?

「そこのパソコンに出てるだろう?」





「マインスイーパだ」




('A`)('、`*川川 ゚ -゚)( ・∀・)( ^ω^)
       マインスイーパ!
( ´∀`)(*゚ー゚)(´・ω・`)( ゚∀゚)从 ゚∀从

全員が、喜んだような声を合わせた。
まさか

( ・∀・)おや?みんなマインスイーパは上級者かい?

('A`)まあ、上級くらいなら、大体クリアできるな

ドクオさんが、自分の実力を言うと、みんなも明かしていった。
だいたいはドクオさんと同じくらいだが、ペニサスさんとモララーさんだけは飛び抜けてうまいとのことだった。
自称だが、自信に満ちあふれた口調だったから、かなりのものだろう

( ´∀`)制限時間は?

「ナシだ。時計が999になっても、クリアさえすれば良い」

(´・ω・`)これは見たところ、一番新しいマインスイーパですが…

「そのパソコンはマインスイーパ用でね、昔の表示の方が良いならそっちでもできるよ」




('、`*川 一番大事なことを聞くわね

そうだ。僕らが出られるかどうかが決まる大事な要素がある。
ペニサスさんが口を開いた。

('、`*川 難易度は?

「設定で決めさせてもらっている」
「初級を3回、中級を3回、上級を3回。そして、オリジナル盤で1回クリアすれば君らの勝ちだ」
「オリジナル盤の設定は、盤面最大・地雷数200だ」
「全員がそれぞれ1回はマインスイーパに勝つか死ぬかしなければ、君らは出られない」

(;・∀・)「にひゃっ……?」('、`;川

とんでも無い数だ。
きっと、「不可予知」も出てくる。
そんなの、クリアできるハズが無い。

('、`#川 そんなの…!

「クリアしてもらう。」
「いくら失敗しても良いから、クリアしてもらおう」
「返事は?」




(#゚ー゚)わかったわよ!やってやる!!!!

「元気が良い子は好きだよ」
「それと、失敗しても良いのは、オリジナル盤と上級だけだ」
「中級以下は、一度の失敗でも許さない」

「地雷を爆発させたプレーヤーは、死ぬことになる」

川 ゚ -゚)初級だからと、安易にプレイはできない。そういうことか?

「そうだね、追々ルールは説明して行こう」
「あと、パソコンにはネット回線は無いから、助けを呼ぼうとしても無駄だよ」
「もちろん、携帯はぶっ壊させてもらったから」

「じゃあ、ゲームを開始しても、良いかな?」




マインスイーパ・スタート




( ^ω^)……始まったのかお

( ゚∀゚)みたいだな、止まってたマインスイーパの時計が動き出した

( ・∀・)(なるほど、特注みたいだね
      はじめの一つを開いてないのに、時計が動き出すとは)

(´・ω・`)で、でも、時間は気にしなくて良いんですよね?

从 ゚∀从 だけど、まったくいじらないと、全員が殺されてしまうらしい

('、`*川 誰が、どの難易度をやるか、決めないとね…

ペニサスさんの言うとおりだ。
ここでウダウダしても仕方がない。

( ・∀・)僕は中級をやるよ。
     ミスは許されないんだろう?なら、うまい人がやった方が良いだろうし

('、`*川 アンタがそういうなら、私も負けられないわね
     私も中級をやるわ。

この人達、自分の命が失われそうだってこと、分かってるのかな
この二人が、一番過酷なコースを選んだことで、話し合いは進みやすくなったと思われた。
が、その二人を決めてからは、話し合いは停滞してしまった。




止まったままの空気を破ったのは、僕だった。

( ^ω^)……、ショボン君は、上級をやれお

(;´・ω・`)上級ですか?しかし……

上級は、このルールでは最も楽なハズだ。
初・中級と違い、失敗が許される上に、オリジナル盤のような無茶な要求でもない。
ショボン君がやるなら、上級が一番だろう

(´・ω・`)……心遣い、ありがとうございます

(´・ω・`)できることなら、中級をクリアしたかったんですが、
    すみません……自信がありません

( ^ω^)良いんだお、君は君の上級をクリアするんだお

('A`)ブーン。お前は中級をやるつもりかも知れないが、ダメだ
   お前には中級をやらせない

(;^ω^)なっ……




僕は驚いた。
上級の3つの椅子の内の一つをショボン君に上げた時、僕は中級か初級をやるつもりでいた。
ドクオさんにそれを見透かされた驚きもあるが、何よりその言葉の内容だった。

(;^ω^)なんでですかお!僕がやった方が、良いに決まってますお!

('A`)プレッシャーがある。お前にはな
   きっと家族がいるだろう、友人もいるだろう
   失う物が、大きすぎるんだよ。お前は

(;^ω^)う……

そこで思い描いたのは、学校でいつも話しているツンやィョウの姿だった。
確かに、彼らと会えないのは辛い。

(;^ω^)でも……僕がやらないと……

('A`)ブーン、俺がお前より下手だと思ってるのか?ナメるなよ

('A`)とにかく、最後の中級の挑戦者は、俺だ。

最大の難関である中級
それに挑戦する3人の椅子が、埋まってしまった。
モララーさんと、ペニサスさんと、ドクオさん。

(;´∀`)危険なチョイスの気がするモナ……




( ゚∀゚)何かいったか?オッさん

(;´∀`)モララー君、ペニサス君。ドクオ君。
      リーダー役のこの3人が中級に挑むということは……

从 ゚∀从 一気に頭を失う可能性が出る……ってこと?

(;´∀`)…モナ……

モナーさんの言葉に、ドクオさん達3人の中級挑戦者が反応した。

('、`*川 私達は、絶対クリアするから
( ・∀・) クリアします。安心してください
('A`)  ……やりとげます。絶対に

この3人が、こんなにもはっきりと自分の意志を伝えるのは、意外だった。
出会ってから数時間もたっていないが、この3人の性格は把握しているつもりだった。
のらりくらりと、風に揺れる葉っぱのような性格だと思っていた。

(;´∀`)そうか……モナ…

モナーさんが不安を抱えたまま同意した後、彼の後から声がした。
優しく語りかけるような声だ。

川 ゚ -゚)モナーさん、あなたは上級をやるべきだ




(;´∀`)モナッ!?

川 ゚ -゚)その老いた体では、クリックミスも犯しかねない。
    ましてや、命を賭けた勝負なんだ。あなたには荷が重い

失礼なことを言っているようだが、真実だ。
それに、モナーを思っての発言だと、容易に読み取れた。

(;´∀`)……わかったモナ。やらせてもらうモナ……

(;´∀`)残念だけど、君の言う通りだモナ……
      上級を選ばせてもらうモナ

川 ゚ -゚)そうだ。心配はするな。
    「あなたは、あなたの上級をクリアすれば良い。」
    だろう?ブーン君

突然名を呼ばれて、僕は少し驚いたが、力強く同意した。
これで、上級の椅子はショボン君とモナーさんが座った。

上級の椅子、残りはあと一つ。

危険な椅子は、初級の3つが残っている。

そして、異端児「オリジナル」の椅子。




川 ゚ -゚)そして私は、初級を選ばせてもらう

( ゚∀゚)理由を聞きたい

川 ゚ -゚)残っているのは、私と君と、ブーン君とハインさん、しぃさんだ。
    この5人の中で一番うまいのは、私だろうと踏んだ

( ゚∀゚)言うね。

川 ゚ -゚)言うさ。

はっきり言って、クーさんの言ってる強さはなんの理由付けも無い。
勘によるところのみだ。
だが、残った5人の中ではクーさんが一番うまいだろうと、僕も思った

川 ゚ -゚)では、私は初級をやる、異論は無いな?

異論など、言えるはずが無い。
正しい判断なのだから。

( ゚∀゚)俺もやるぜ。このねーちゃんには負けたくないんでな




負けず嫌いの塊のような、左頬に傷を持った男が初級に挑戦する。
残りは初級一つ、上級一つ、そしてオリジナル。

だが、すでに初級に座る人間は決まっているようなものだった。
女性を命の危険にさらすわけにはいかない。
特にしぃさんは、精神もマインスイーパも強くなさそうだ。

( ^ω^)僕が、初級をやるお

('A`)……

スピーカーから声は聞こえない。
だが、今もこの会話を聞いているのだろう。
マインスイーパの時計は、すでに999となっていた。

どうやら、さきほどの声の主が「ゲームの参加・不参加」を見極めるらしい。
話し合いによる時間の消費は、ゲーム参加のためと判断されているのだろうか

从 ゚∀从じゃ、私は上級で良いか?

(*゚ー゚)……良いよ、「声」にケンカを売ったのは私だもん。
    私がオリジナルに勝たないと、売り逃げだもんね。

これで、全ての参加者の挑戦ランクが決まった。




「どうやら、挑戦する難易度を決めたようだね」
「話し合いで疲れただろう、少し休憩すると良い」
「次に、私の声がかかった時、ランダムで誰かを選ばせてもらう」

川 ゚ -゚)「誰かを」だと?

「ああ、たとえば君を選んだとしよう」
「選ばれた君は、ランクを選ぶ。」

川 ゚ -゚)私は初級をやるのだが

「そうか、ならばパソコンの前の椅子に座った後、私に「初級」と話しかけると良い」
「すると、画面は初級のランクに変えてやる」
「マインスイーパの表示は、その時に変更してくれ」
「使い慣れた表示が良いだろう?」

川 ゚ -゚)わかった

クーさんは分かったようだが、全員がわかったかどうかは分からない。
僕もやっとのことで理解できた。
この声の主は、説明が下手なのかも知れない。




( ゚∀゚)どういうことだ?从∀゚ 从

( ・∀・)自分が呼ばれるまでは、休んでて良いってことだよ
     呼ばれたら、さっき決めた難易度を選べば良い
     そして、マインスイーパを開始するんだ

モララーさんの説明は、スピーカーの声よりもずいぶん分かり易かった。

目を閉じたり、壁にもたれたりして休む者がほとんどだった。
僕も、最初は壁にもたれて体と頭を休めていた




だが次第に尿意を催してきた。

( ^ω^)聞いてるかお?

「なんだ?」

( ^ω^)トイレはどこだお?

「そこの木製の方の扉を開けろ、便所だ」

( ^ω^)そうかお

木製のドアをあけると、そこは割と綺麗なトイレだった。
用を足しながら、ブーンは考えた。
皆がいた部屋のことだ。

あの部屋は、天井にはスピーカーと電灯があるだけ、
床には何もなく、「ゲーム用」のパソコンが置いてあるだけだった。
ドアは二つ、このトイレへのドアと、もう一つ、金属製の鍵がかかったドア




金属製のドアは、きっとクリアした人たちをここから出すためのドアだろう
破壊することはできないと思う。
たとえ破壊できても、見張りを置くなり、何らかの対処はしてあるだろう

( ^ω^)やっぱり、ゲームに勝つしか無いのかお…

ブーンの選んだ難易度は、初級
決して難しくない。
初級なら「不可予知」にもなりにくい。

けれど、ノーミスが条件だ。
失敗してしまったら……
そう考えるだけで、身の毛がよだった。

トイレから出ても、しばらくそのことを考えていたが、

( ^ω^)(あんまり、精神を消耗しない方が良いかも知れないお)

と思い立ち、
少しだけ、目を閉じて休んだ




隣にいるしぃさんが、何かつぶやいていた。

(*;ー;)ギコ兄……なんで私、こんなところにいるのかな……
     怖いよ、助けてよ……ギコ兄……

( ^ω^)しぃさん、休んでた方が良いですお…

( ;ー;)ブーンくん…私、私ね、怖いの

( ^ω^)僕も、怖いですお…

(*;ー;)自分で初級を選んだのに、怖いの?

( ^ω^)指先一つ間違えるだけで……

( ^ω^)考えるだけで、怖いですお

( ;ー;)そうよね……

( ^ω^)はい。
      だから、しぃさんも今は休んでくださいお…?

(*;ー;)うん、うん……わかった…




しぃさんをなだめた後、周りを見渡した。
どうやら、体力以上に、精神を消耗している人が多いようだ。

(´;ω;`)シャキン兄ちゃん……助けて……

大人びたショボンくんも、やはり恐ろしいのだろう。

(;゚∀゚)…………

景気の良い啖呵を切ったジョルジュさんも、どこか落ち着きがないように見えた

川 ゚ -゚)くそっ……

クーさんも、死と隣あわせのゲームなど、やりたくないだろう。
僕だって、そうだ

モナーさんやハインさんは、壁に寄りかかって、体を震わせていた。
寒くはない。
恐怖だ。




やはり、10人の中でも特別な存在だったのは、中級の挑戦者達だった。

('A`)…
(-、-*川
( -∀-)

ペニサスさんとモララーさんは寝てるし、ドクオさんは集中力を高めているようだった。
体に負担をかけるような姿勢でも無い。
マインスイーパの腕どうこうよりも、プレッシャーに強いのだろう

やはり、この3人以外に中級をクリアできる人間はいなさそうだった。




3人をしばらく見つめていると、僕がトイレに行く時に呼びかけた後、まったく声を出さなかったスピーカーが、鳴った

「ゲームを始める」

全員が、それに耳を傾けた
寝ていたペニサスさんやモララーさんも、おびえていたしぃさんやショボンくんも。







「最初のプレイヤーは…」






―スタート―




「最初のプレーヤーは、ハインリッヒ=高岡」

この名前は、たぶん

从 ゚∀从「私か」

「まずは、パソコンの前の椅子に座れ」
「これから3分以内に座らなければ、ゲーム放棄と見なし、君らを皆殺しにする」
「皆殺し、とは少し幼稚な響きだがね」

从 -∀从「座らないわけないだろ、そんなこと言われてよお」

「オーケー、ゲームに参加するんだね?」

从 ゚∀从「ああ」

「では、難易度を選べ」

ハインさんの選んだランクは上級。

从 ゚∀从「上級だ」

ゲームが、始まった。
ハインさんが右手に持ったマウスが、動き出す




ハインさんは、普通の人よりはうまい。
スラスラと道を開いている。
地雷に旗を立て、ミスクリックを防止する。

だが、判断に時間を掛けすぎている気がする。

( ^ω^)ハインさん!

「内藤=ホライゾン。助言をすると、プレイヤーと君を殺すことになる」

( ^ω^)助言じゃないお!聞きたいことがあるんだお!

「ダメだ。君らの間で暗号があるかも知れないからな」
「プレイヤーからの発言は、許してやるが、それに対する返答は禁ずる」
「本来は、今の行動も反則だが、説明していなかった私が悪いから、今のは許す」

(;^ω^)くっ……

从 ゚∀从そこの、内藤?っつったか?
    大丈夫だって、安心しろよ。

「そうだな、上級はいわばサービスランクだ。死なないし、クリアできる見込みがある」

从 ゚∀从悔しいけど、こいつの言う通りだ。
    安心して私の帰りを待ってろ

ハインさんは、少しずつ陣を広げていった。
地雷に立てた旗も、増えてきていた。




ゆっくりだが、ミスの無い判断。
ハインさんの見た目とは、真逆のような気がするが、このゲームに関しては、最適だろう

从;゚∀从うっ……

上級やオリジナルなど、地雷が多い盤で起きうる現象が出た。
盤の壁際、地雷の旗に囲まれた4コマ。壁際の二つが不明。内側の二つはどちらも「3」
「不可予知」だ。

マインスイーパは、運の要素は実は小さい。
大体が冷静な判断と迅速なクリックによって構成されている。

だが、この「不可予知」だけはその二つではカバーできない。
100%を運に任せるしかないのだ。

上級でこれが出たのは、不幸中の幸い。
いや、かなりの幸いだった。




上級でこの現象が起きたことで、中級や初級にも起きうるということが分かったのだ。
改造してあるマインスイーパだから、「不可予知」はひょっとしたら無いかも知れないと思っていた。
だが、あった。

希望が断ち切られたが、情報は手に入った。

从 ゚∀从 不可予知か~
     あんまり迷っても、同じなんだよね。これって

ハインさんの言うことは正しい。
さらに挑戦ランクは上級、リスクが無い。
早くここから出たいという気持ちもあるのか、ハインさんは早めに決断をした。

从 ゚∀从 こっち!!おっ!!正解かよ!

ハインさんは「不可予知」を、二分の一を正解したようだった。
その後は、どんどん陣を広げた。
油断することなく、着実に。




上級盤は、地雷の数が99、盤面の大きさが16×30ある。
だが、約100個の地雷も、一つ一つ対処すればどうと言うことはない。

おそらく、ハインさんはクリアする。
クリアした後、そこで知っておきたい情報が幾つかある。

从 ゚∀从地雷はあと2つ。
    余裕だな

油断だけはするな。とは念じた。
失敗しても、最初からやり直しになるだけで、別にリスクは無い。
が、雰囲気を乱されるのは、モチベーション的にどうも痛い。

从 ゚∀从ほいほいっと、クリアだな

そんな僕の心配をよそに、
ハインさんは、あっさりとクリアした。




「ハインリッヒ=高岡、上級をクリアしたことを認める」

从 ゚∀从へっ、当然だぜ!

( ^ω^)おめでとうございますお!

从 ゚∀从おっと、そうだ内藤。お前がさっき言ってt


「おめでとう。ハインリッヒ高岡」
「君は見事上級をクリアした」


「だが、まだ解放はしない」


从 ゚∀从 ……は?




「君らは、めでたくも、まだ10人生き残っている」

('A`)……で?

「だが、クリアしていないのは9つある」

( ・∀・)おいおい、まさか

「そう、死者が出るランクがまだあるな?」

川;゚ -゚)おい、それでは!

「あと10人で、」
「初級3回・中級3回・上級2回・オリジナル盤1回をクリアせよ」
「初級や中級で失敗し、プレイヤーが死んだ時、他のランクをクリアしたプレイヤーを補充しても良い」
「今の状況なら、たとえ初級・中級の挑戦者が連敗しても、ハインリッヒ高岡を初・中級挑戦者として出せる」

从#゚∀从訳わかんねーよ!!!早く出せよ!

ハインさんが怒るのも無理はない。
これは、これはとんでも無いことになりそうだ。




(;´・ω・`)どういうこと……ですか?

(;^ω^)今、ハインさんがクリアしたおね?

(;´・ω・`)はい、見てました

(;^ω^)もしも、次に僕が呼ばれたとするおね?

(;´・ω・`)は、はい

(;^ω^)そこで、僕が失敗したら、初級のプレイヤーが一人減るお

(;´・ω・`)……

(;^ω^)僕がクリアできずに死ぬ。ということになるからね

(;´・ω・`)……

(;^ω^)僕の「空席」に、クリアしたハインさんが座るんだお

(;^ω^)死ぬ危険のある、初級の空席に。だお

完全に、誤算だった




从;゚∀从ありゃ……俺、死ぬかも知れないの?

从;;゚∀从クリアしたのに?

从 ;∀从何も悪いことしてないのに!?

ハインさんの泣き声は、しばらくの間、コンクリートの部屋に響いていた。
ハインさんを、初級や中級に回らせてはいけない。
それを思わせるには、十分の涙だった。



「では、次のプレーヤーを、選んでも良いか」
「まだ「空席」が無いから、ハインリッヒは選ばれない」

「次のプレーヤーは、ハインリッヒ以外の9人から選択する」

「次のプレーヤーは……」







―2―



「次のプレーヤーは君だ、素直=クール」

川 ゚ -゚)私か、

「パソコンの前に着席せよ。3分以内にしなかった場合、ゲームを放棄したと見なす」
「ゲームを放棄した場合、わかっているな?」

川 ゚ -゚)座るさ。もちろん

川 ゚ -゚)(上級やオリジナルは、敗北がありえないから、確実に勝てる)
川 ゚ -゚)(つまり、4人は確実に生きて帰れると思っていたが、やはり甘くないな)
川 ゚ -゚)(これでは、7人以上の死者が出る可能性があるのか)

川 ゚ -゚)(だがこのシステム、無駄が多い)
川 ゚ -゚)(何か、理由があるはずだ)

川 ゚ -゚)やるか

クーさんが小さくつぶやいた。
その声は、9人全員に聞こえたのだろうか。
僕には、聞こえた。




「ランクは?」

川 ゚ -゚)

クーさんが、ちらりとドクオさん達の方を見た
ドクオさんの隣には、モララーさんとペニサスさんがいる。
中級の、挑戦者達だ。

川 ゚ -゚)初級だ

「わかった。表示はこれで良いな?」

川 ゚ -゚)かまわん

始まった。
ハインさんの上級とは違う、本当に命を賭けたマインスイーパが。




川 ゚ -゚)ふむ、早速こまったな

初級では、最初の一手が全てを決めると言っても過言ではない。
周りに地雷がなく、多くの土地が開ければ、クリアに近づく。
最初の一手と、「不可予知」は、運に任せるしかない。

川 ゚ -゚)……

クーさんが最初に開いたマスは、数字が書いてあった。
その数、「1」
つまり、開いたマスの周りのマスのうち、1つは地雷だ。

いきなり、賭けになってしまった。
しかも、クーさんの開いたマスは、盤の辺の部分である。
つまり、となり合うマスが5つしかない。

2手目、五分の一の確率で、クーさんが死ぬ




もちろん、一手目とは違うところを適当に開くという選択肢もある
初級盤の大きさは9×9=81マス。地雷数は10
クーさんが開いたマスと、その周りを全体から引くと、75マス
地雷は、その中に一つあるので残り9

9/75か、1/5か、
リスクの低いのは、明らかに前者だった。

川 ゚ -゚)うむ…

クーさんは、マインスイーパはへタではない。
自分であそこまで言えるのだから、きっとそうだろう。
僕やジョルジュさん、ハインさん、しぃさんより、うまいと言い切った。

だがそのクーさんが、詰まっている




上手い人は、自然と初級から離れていく。
ハイスコアを出したり、自分なりのオリジナル盤を作ったりする。
初級は、お遊びなのだ

だが、そのお遊びに命を賭けさせられている。
初級の感覚を戻せないというよりは、命を賭けているということが、クーさんの心を乱しているのだろう
さきほどから左手で汗を拭う回数が増えている。

まずい。クーさんが焦りだしている。
それも、まだ2手目だというのに

川 ゚ ー゚)賭けなら、楽しい方をやりたいよな?

(;^ω^)……

僕は、返事ができない。
スピーカー男が、さきほどのハインさんの試合の時に言った
「プレイヤーからの発言は、許してやるが、それに対する返答は禁ずる」
は、ルールの一つだ。

平気で他人を拉致し、監禁し、命を賭けさせる奴らだ。
破れば、おそらくは……

(;^ω^)

返事は、できない




川 ゚ -゚)私は、別の場所を開く

川 ゚ -゚)チラッ

クーさんは、一瞬どこかを見た。
天井のスピーカーか、後にいる僕ら9人か
クーさんの右手のマウスが、人差し指によって、左クリックの指令を出す。



カチッ

















二手目、クーさんが開いたマスに現れたのは、またも数字の1
しかも一番最初に開いたマスとは離れた、関係のない所。
盤の下端だ。
リスクを恐れた故の、リターンの少なさ。

致命的。命取りの誤判断。
そしてクーさんは、マウスを動かすのをやめる。
それどころか、マウスから手を離してしまう。

川;゚ -゚)いい加減にしてほしいものだな

開けた2箇所の周りは、それぞれ1/5の確率で地雷だ。

他の箇所は、81マス盤から12を引き69箇所。
地雷は8つ。
まったく別のところをやれば、8/69の確率で地雷。

川 ゚ -゚)私は、二度も賭けに出られるほど、勇気のある人間では無いんだ

(;^ω^)……

僕は、見守ることしか出来ない。




嫌な状況だった。
命をかけたマインスイーパとしては初戦だ。
それが、こんな苦戦を強いられている。

川 ゚ -゚)おい、スピーカー

クーさんは、マウスから手を離さずに、スピーカーの男に話しかけた。

「なんだ?」

川 ゚ -゚)発言をしても良いか?

「もちろん、プレイヤーの言動は自由だからね」
「だが、後にいる9人は、それに反応してはいけないよ」

川 ゚ -゚)わかってる。とにかく、今からかなり喋るが、良いな?

「ああ、聞かせてもらいたい。興味がある」




川 ゚ -゚)私は、このシステムに無駄を見つけた。

(;´・ω・`)(……無駄?)

川 ゚ -゚)とりあえず目立つのは「上級」と「オリジナル」の存在だ。これが一番大きな無駄だろう

( ゚∀゚) ……

川 ゚ -゚)死なないというプレイ条件ならば、そもそも存在する意味がない。
     最初からそれらを省いて、10人で初・中級に挑戦させれば良い

「……」

川 ゚ -゚)なぜある?計画的に拉致・監禁までするような奴らだ。
     きっと無駄なことにも理由がある。
     今は、その理由は分からんが、な……

絶望的な状況における冷静な考察。
それができる人は強い。が、滅多にいるものではない。
クーさんは、できる人だろうか、できない人だろうか。

川 ゚ -゚)それにこのスピーカーの男、監視というよりも……私達を観察しているように思える




「観察?」

スピーカー男の声。
耳にまとわりつくような、嫌な声だ。
この追いつめられた状況が、僕らにそう感じさせるのかも知れない。

川 ゚ -゚)そうだ。
     私達の話し合いや、プレイの様子、ルール説明時の反応
     そういったものを、観察しているように思える。


しばらく、誰も言葉を発さなかった。
僕ら9人は当然だが、スピーカーの男も、クーさんも、しばらく黙っていた。

そこで僕は思考に耽った。

観察。
言われてみれば、男は確かに僕たちを観察しているように思えた。
脅迫しているわけでも、誰かを拷問にかけているわけでもない。




この部屋だって、まだコンクリートが新しい。わざわざ作ったと思われる。
先ほど入ったトイレは使った形跡が無かった。そのことからも新築だと分かる。

天井にも蜘蛛の巣などは無い。
電灯も、一つたりとも切れていない。

全てが、僕らを閉じこめるために新しく作られているようだった。

( ^ω^)……

そこまでして僕らを観察したいのか。

僕ら自身に価値があるとは思えない。
僕はただの中学生だし、小学生や60歳の男性に何か特殊な価値があるとも思えない。
強いて言えばクーさんが薬の研究をしていることが目立つが、それについても触れてこない。

無差別に10人を選んだと見て、間違い無さそうだ。

何のために観察するのか。
そこからは、考えても結論に至ることはできそうになかった。




川 ゚ -゚)上級やオリジナルが存在する理由。
     それさえ分かれば、お前のハラは読めるんだ

「そうかい」

また、皆が黙った。
クーさんは、静寂の中マウスを握りしめた。

川 ゚ -゚)こんな状況、小説でしか読んだ事無かったな

川 ゚ -゚)あの小説のタイトルもラストも、忘れてしまったが……

「プレイを再開せよ、素直=クール」

クーさんの長い語りにいらだってきたような声が、スピーカーから発せられる。
だがクーさんは物怖じせずに言った。

川 ゚ -゚)もう少しだけみんなと一緒にいさせてくれないか

みんな不安そうにクーさんを見ている。
冷静なドクオさんでさえも、この状況には焦っているように見えた。




「そう言うなら、話させてやらんこともない」

スピーカー男の偉そうな口調が、癪に障る。
が、僕らには反抗どころか発言すら許されていない。

川 ゚ -゚)礼を言う

クーさんも本心では、こんな奴らに礼など言いたくないだろう。
だが、今はこうするしか無い。
そういう状況なのは、分かっている。

川 ゚ -゚)最後にみんなに、素直に、私の気持ちを伝えたい。

最後だなんて、そんないい方。
これから死ぬみたいにしか聞こえない。




川 ゚ -゚)まず、私は10人で生きて帰りたかった

なぜ、なんで過去形なのだ。

川 ゚ -゚)死ぬ時っていうのは、なんとなく分かるんだ。

川 ゚ -゚)それでな、君らに頼みたいことがある。

それまでただ俯いていただけのペニサスさんが、クーさんを見つめた。
9人の18の目が、クーさんを見る。

川 ゚ -゚)私には、妹がいるんだ。
     名をヒート。素直ヒートと言う。
     広島の、福山市に私と二人で住んでいた。

川 ゚ -゚)彼女に伝えて貰いたい。
     「素直クールは最後まで頑張って、死んだ」と。

川 ゚ -゚)なんとも辛い役目だが、頼まれてくれるか?

誰も発言はしなかったが、皆の目が答えていた。

川 ゚ -゚)ありがとう、皆。




僕の隣に座っていたしぃさんが、クーさんの言葉を聞き終えてから泣き出した。
声を出さないように、必死にこらえながら泣いている。

声を出せばしぃさんもクーさんも「ルール違反」になる
クーさんの命がけの勝負を、覚悟を、決して無駄にはしたくない。
その気持ちが、伝わってくる。

川 ゚ -゚)(やれるまでやる、しか無いだろう?ヒート。)

クーさんは、マインスイーパの表示されているディスプレイの、向こうを見つめた。
僕らには、コンクリートの壁しか見えなかった。




川 - -)……私の言いたいことは、これで終わりだ




川 ゚ -゚)遅くなったが、決断するよ

現在、初級盤の81マスの内、2マスが開いている。
そこに書かれている数字は、どちらとも「1」。

川 ゚ -゚)ここを開く

クーさんが選んだのは、9×9盤の中央。
1・2手目で選んだマスとはなんら関係の無いところ
地雷の確率は8/69。

運との勝負。
当たる確率は低くない。




川 ゚ -゚)……

カチッ

クリック、盤の中央の一マスが窪むグラフィックに変わる。
マスを圧迫しているマウスを、右手の指を離せば、結果が出る。
吐きそうなほどの緊張。

川 ゚ -゚)

クーさんが、クリックした右手の指を離さない。
マインスイーパの仕組みでは、指を離した瞬間にマウスカーソルがあるマスが開かれる。
が、最後の決断を、しきれないのか。

川 ゚ー゚)

クーさんは、笑っていた。
指は離れていない。
笑顔に慣れていないのか、引きつったような笑みだった。


笑顔のまま、クーさんは指を離した。




















現れたのは、地雷



























「素直クール、初級のマインスイーパに失敗」

スピーカーからの声は、憎らしかった




「始めての脱落者が出たな。殺され方を知りたいか?」

しぃさんが体を震わせた。
クーさんは何も言わない。言えない。
僕も、クーさんのプレイが終わって発言可能になったが、口からは言葉が出てこない。

川;゚ -゚)こ、殺し方は言うな!

「くっくっ、残った仲間達の精神を気遣う余裕があるか」

「執行人、素直=クールを連れて行け」

スピーカー男からの声は、途切れた。
コンクリート部屋にある鉄のドアが開き、黒スーツの男達が5人ほど、銃を持って入ってきた。
体格が良い。銃もかなりの威力がありそうな、大きなものだった。

執行人は何も言わず部屋の中を見渡す。
クーさんを見て、腕を取ると、そのまま鉄のドアを閉めようとした。



「逆らったら「執行人」に容赦なく撃たせる。おとなしくしていろ」




川 ゚ -゚)最後に一つ、良いか?

「遺言は短めにな」

スピーカーからの見下したような声が、僕らの非力さをあざ笑っているかのようだった。

川 ゚ -゚)みんなは死なないでくれ。
     以上だ

クーさんは、無言で服のポケットから何かを取り出して、僕に投げつけた。
白い小さな紙袋に入っていて、中身は分からない。

(;^ω^)クーさん!クーさん!

クーさんが投げてきた小さな紙袋を左手に握りしめ、名を呼びかける。
それに続ける言葉が見つからない。
クーさんから返ってくる言葉も無い。

鉄の扉の向こうへと、クーさんが消えてゆく。
彼女は、ただ、どこかを見つめていた。






―3―



川 ; -;)……

私は静かにどこかを見つめていた。
最後まで叫んでくれた内藤でも、他の8人でも、スピーカーでも、パソコンでもなく、
両脇にいる「執行人」でも、閉ざされる鉄の扉でも、暗い通路でも、遠くなる部屋の灯りでもなく。
どこかを見つめていた。

10人で過ごした時間は、1時間程度だっただろうか。
私には、そのくらいに感じられた。

彼らの顔が、浮かんでは消える。
みんな、消えないで。
私のそばにいて。

愛する妹、ヒート。消えないで。
家で待っていて。
どうか、お姉ちゃんの帰りを、待っていて。

広島の、私達の家で、待っていて。




川 ; -;)

消えないで、皆。












私は、消えながら、最後までそう願った。





―4―




「悲しんでいる余裕はないぞ」

クーさんの失格から5分が経った頃に、スピーカーから声がした。
この5分で、クーさんはどうなったんだろう。
考えるだけで、辛くなる。


「次のプレイヤーが決まった」




「君だ。内藤=ホライゾン」

( ^ω^)……僕かお

「三分以内にパソコンの前に着席せよ」
「着席せねばプレイ放棄と見なす。放棄のペナルティは、分かっているな?」
「プレイ中のプレイヤー以外の発言は許されない」

すでにお決まりとなった言葉。
今までのプレーヤー、ハインさんとクーさんは、この放送後すぐに着席した。
座らなければ死ぬ。そのことは分かってる。けど僕は、少しだけ時間をとった。

不安が、隠しきれないほど出てきた。
汗が頬から顎を伝うのが分かる。
こんな風に発汗したのは初めてだ。

(;^ω^)お……

不安がっていると、ドクオさん達が僕に話しかけてきた。




('A`)頑張れよ、内藤。

( ・∀・)焦るな。慎重にやるんだ。活路は見いだせるさ

('、`*川 とにかく動揺しないこと。良いわね?

中級挑戦者から、激励の言葉。
これ以上に頼もしい味方はいない。
クーさんを失った悲しみはあるけれど、僕らは生きて帰らなければいけない。

そのためには初級と中級を、あと3回ずつクリアする必要がある。
頑張らないと、いけない。

( ^ω^)わかりましたお

確実に、さっきよりは回復している。
肉体ではなく、精神が。




( ^ω^)じゃあ、座りますお……

(´・ω・`)待って下さい

意外な人から声をかけられた。
最年少の「挑戦者」、ショボン君
小学6年と言っていたから、11歳くらいだろうか。

(;^ω^)おっ……?

(´・ω・`)クーさんからもらった白い紙袋。開けてみてください。
    何が入っているか、確認しておきたいんです。

ショボン君の発言は、もっともだ。
僕は小さくて白い紙袋を、丁寧に開封し、中身を確かめた。

中には白い錠剤と、折りたたまれた紙が入っていた。
錠剤を見た時に分かった。
この白い袋は薬袋。そういえば病院で薬を貰う時にこんな紙袋に包んで貰う。

クーさんは薬の研究をしていると聞いた。
だからこの程度なら入手可能なのだろう。




(´・ω・`)何が入ってますか?

( ^ω^)……錠剤タイプの薬だお……やけにたくさんあるお
      僕には何の薬か、というのは、ちょっと判断できかねるお
     添え書きの方に書いてあるかも知れないお。

そこでスピーカーから声が発せられた。

「あと1分だ」

(;^ω^)おっ。とりあえず薬と添え書きはショボン君に渡すお。
     僕のプレイ中に皆で読んでおいてくれお

ショボン君は頷いて、僕の手から紙袋ごと受け取った。
頑張って下さい。と言い残して、ショボン君はコンクリートの床に座った。

座りながら、後を見た。
ショボン君達8人が見つめている。
そこにクーさんが居ないのが、寂しかった。




「プレイするランクは?」

( ^ω^)初級だお

「表示はこれで良いか?」

( ^ω^)Meのころの表示が良いお
     XP以降になると目が慣れてないお

僕が家で使っているパソコンは、基本的にスペックは低かった。
自作できるほどのスキルは無いし、そもそもが友人のィョウから譲り受けたパソコンだった。
一番最近彼からもらったパソコンのOSはMeだった。

( ^ω^)(たぶん今は日曜日だから、学校は休み)

( ^ω^)(……ィョウは家で勉強でもしてるかお…?)

友達の事ばかり浮かんでくる。
心配されるべき状況なのは自分だというのに。
もっとも、ィョウの方は僕がこんな状況だというのは知らないだろう。




「少し待っていろ。」

それから、スピーカーからの声が、20秒ほど途切れた。
その間、僕は指や肩、首のストレッチをして体をほぐす。
普段からあまり運動をしていないので、かなりの関節が音を鳴らした。

ハインさんとクーさんがプレイしていた、XPのマインスイーパ画面が一旦暗くなる。
そしてすぐに、マインスイーパの表示が、僕の見慣れた表示に切り替わった。

「ゲームを開始しろ」

一手目、悩むことなく僕はクーさんが最後クリックした位置にあるマスを押した。
初級の9×9盤、その中心マス。
初手が地雷である確率は0だが、ここで土地が開けるかどうかはかなり大きい。




土地は、小さくだが、開いた。
空白マスは2マス。それを囲むように数字マスが10マス。
数字は「1」がほとんどだが、中には「2」もある。

( ^ω^)これならもう楽勝、だおね

从 ゚∀从(油断だけはするな、内藤)

これだけ開けば、十分だった。
はっきり言って、ここから失敗するのはよっぽどの初心者だ。
ルールと定石をある程度知っていれば、クリアできる。

初級ならば「不可予知」はほぼありえない。
このままいけば、81マス全てを開拓するのも難しくは無いだろう。

( ^ω^)(ちょっと、考えるかお)

プレイ中は、スピーカーからの声がほぼ無くなる。
クーさん自身が話しかけた時は返答があったが、ハインさんの時は邪魔してこなかった。




プレイを中断し、長考する。
他の8人のプレイについてだ。
いや、正確にはハインさんを除く7人について。

スピーカー男はハインさんのクリア後に「今はハインリッヒは選ばない」と言った。

ハインさんを連続指名して連続クリアされると、10人全員に回らない可能性が出る。
極端な話、ハインさん一人で10回連続指名・10回連続クリアだってあり得たのだ。

それを避けての発言だったと推察できる。
つまり、「10人全員に一度は回ってくる」と見て間違いないだろう。

僕らにプレイの順番を決めさせないことも、それを裏付ける理由になる。
僕らが自由に決めると、先ほどの例のように10連続クリアだって出てきてしまうからだ。




ここで僕がクリアすれば、未プレイ者7人+既クリア者2人で8回クリアすれば良い。

全員に1回はプレイさせるという推察が正しければ、次のようになる。
8回の内7回は未プレイ者のしぃさん、ドクオさん、モララーさん、ペニサスさん、ジョルジュさん、モナーさん、ショボン君の7人が一度ずつプレイ。

7人が全員無事にクリアすれば、残りは1回。
残り1回を、誰かがプレイする。
残るのはクーさんがクリアできなかった「初級」

その時の9人のクリア者の中の誰か一人が、二度クリアせねばならない。

( ^ω^)(しかも「残り1回」っていう数字は、未プレイ者7人が全員クリアできたらの話だお)

( ^ω^)(これ以上人が減るのは、いろんな面で辛いお)




これからまた人が減れば、一人一人のプレイ回数が増えてくる。
プレイ回数が増えれば、自然と死ぬ危険が大きくなる。

( ^ω^)まずは自分の役割をクリアすることだお

言葉に出ていたが、それに答える者は、誰もいない。
ふと後を見る。
誰もいないかのような錯覚に陥る。




そこには不安そうな顔で見つめてくるしぃさんや、震えているモナーさんが居た。
8人が、そこにはきちんといた。

( ^ω^)(良かったお……)

自分の脳内を駆けめぐった感情に、反応する。

「良かったお」…?
何が、「良かったお」なんだ?

自分一人だけがこんな目に遭っていないで、「良かったお」?
皆が巻き込まれていて「良かったお」?

僕は何を言ってるんだ




最低か、僕は。

無意識の思考は、本心。
最低だ、僕は。

(#^ω^)ああああーーーーーーーーーー!!!!もう!!!!
      最低だから!せめて、せめてクリアするんだおっ!!!

( ・∀・)(…冷静になれ。落ち着いてやれ!!)

('、`*川(普通にやればクリアできるけど……)

('A`)(どうしたもんかね、これは)

土地はほぼ開拓し、残っているのはあと少しだ。
旗も地雷の上に10ほど立てた。初級の地雷数と同じ数を、立てきった。
一度チェックしなおす。

旗は全て、正しい。
確認した。間違いない。
残ったのは3マス

残り3

残り2









「内藤ホライゾン。初級クリア、おめでとう」

まだ解放はされない。ハインさんの時に分かっている。

「残りは初級2回、中級3回、上級2回、オリジナル1回。合計8回だ」
「君らはまだプレイしていない者は7人、クリアした者は2人、合計9人」
「総プレイヤー数が、残り回数を上回ってるね」


「まだプレイして無い者には必ず一度はプレイしてもらうが、な」


やはり、推察は正しかったようだ。根拠の無い推察では無かった。
スピーカー男の発言とこの状況をよくよく考えれば、そういう結論には至る。

スピーカー男は、今まで明確にはそう言わなかった。
全員が1回は挑戦する必要がある、とは。
言わなかったが、皆は気づいていた。

この雰囲気で、そう察することができない方がどうかしている。




「不公平が出るといけないからね。君ら7人にも挑戦してもらうよ」

「下眉・苛猫・箱捨・古猫・長岡・鬱田、伊藤」

7つの苗字が言われた。
誰がどの苗字なのかは、「鬱田」が「ドクオ」さんだということしか分からない。

( ・∀・)そうか

(*;ー;)……やっぱりそうなのね

( ゚∀゚)やってやるよ!!!

反応はそれぞれだったが、7人とも「自分もやらねばならない」ことが分かっていたようだ。
僕はしぃさんとショボン君の間に座り、周りを見渡す。
皆、やはりストレスがたまっているように見える




左に座っていたショボン君が声をかけてきた

(´・ω・`)クーさんの添え書き……読みましたよ

( ^ω^)!

これは、僕とショボン君だけが知って良いことではない。
皆は既に僕とショボン君を取り囲むように、耳を傾けていた。

('、`*川 なんて書いてあった?

(´・ω・`)この薬の名前と効果、そして飲み方などです。

それを聞いて少しだけ気が抜けた。
僕らへのメッセージでも残しているのかと思っていたからだ。
もっとも、クーさんはこの部屋で何も書いたりしなかったから、それはありえないのだが。

( ・∀・)なんていう薬だい?




(´・ω・`)ヴィプクオリティ。
      使用目安は一日一錠。

( ´∀`)聞いたこと無い名前モナ…

僕も聞いたことのない名前だった。
モララーさんやドクオさんでさえも知らない風だった。

( ゚∀゚)あの姉ちゃんは薬の研究してるって言ってたな

薬の研究をしているなら、マイナーな薬も知っているだろう。
クーさんはどこかの大学の薬学部に行き、そのまま研究職についたのだろうか。
少なくとも僕ら素人よりは、かなり多くの薬を知っているはずだ。

(;´・ω・`)効果は、精神安定。と書いてあります

正式な書類では無く、クーさんのメモのようなものだから、細かい効能は書いていない。

('A`)精神安定剤……

(;´・ω・`)いくつか使われた後があります。
    日に1回しか飲めない薬らしいので、クーさんが日常的に使っていたのでは

日常的に使っていたのなら、クーさんがこんな薬を持っていた理由も分かる。




( ゚∀゚)気が強そうだったが、精神安定剤に頼った上での強がりだったのかね?













クーさんは、どうしているんだろう

答えをこの目で確かめることはできないが、ここにいる9人は知っていた。








―5―





僕のプレイから終わってから20分が経とうとしていた。
ハインさんやクーさんが終わった後は比較的早く次のプレーヤーが決まっていたが。

( ・∀・)遅いね

('、`*川 ここには長く居たくないわね

( ・∀・)帰ったら何したいの?

('、`*川 まずは家族に会いたいわね。
     一人暮らしをしてるから、居なくなっても数日間は気づかれないけど……
     あんたは?帰ったら何するの?

( ・∀・)僕は両親は3年前に他界したし、兄弟も妻子も居ない。
     けど、会社の上司、ミルナ部長に会いたいね。
     彼にはとても世話になってるから、僕がいないことで迷惑をかけてるかも知れない。

('A`)上司に会いたい?
   珍しい……よな?

( ・∀・)はは、そうかな。
     でも家族がいないと、仕事仲間達が家族みたいなもんだよ

中級挑戦者達の、余裕に満ちた声が聞こえてくる。
最も厳しい条件が課せられているで中級。その挑戦者である3人の様子は、余裕だった。
あくまで、僕から見れば




('A`)俺も、家族はいない。
   両親は失踪したし、兄弟はもとから居ない。
   結婚できるような財も容姿も能力も無い。

( ・∀・)ふぅん?

('A`)なんだよ……

( ・∀・)いや、まだ若いのに悲観的だなあ。と

('A`)……フン

('A`)帰ってもやること無いんですよ。ただ生きて、ただ死ぬだけ
   ここで朽ちても、一緒なんです

('、`*川 それは……

部屋の中に沈黙が広がる。
ペニサスさんは何かを想うように目を伏せた。

その一瞬の沈黙を見計らったかのように、アナウンス。




「次のプレイヤーが決まった」
「君だ、苛猫」
「苛描=ウララー」

一瞬誰か分からなかったが、この名前は、彼の偽名に似ている

( ・∀・)僕か

モララーさんの番。
部屋中の人間の視線が、モララーさんに突き刺さる。
僕は、不安の視線を突き刺していた。

初の中級者の挑戦。
ここで成功するか失敗するかは大きい。

('、`*川 頑張りなよ

モララーさんに声をかけたのはペニサスさんだけだった。
彼女は、信頼の視線を突き刺していた。




「これから、3分以内にパソコンの前に着席せよ」
「着席しない場合、ゲーム放棄と見なす」

( ・∀・)あーはいはい。座るよ。座るからちょっと待ってね

(・∀・ )ちょっとショボンくん。

(´・ω・`)はい?

(・∀・ )精神安定剤くれない?

飄々としているが、モララーさんだって心中は不安でいっぱいなのだ。
ショボン君から錠剤を受け取ると、一粒飲んだ。
錠剤はまだたくさんあるが、一日一粒が使用目安となっているので、もう飲めない。
クーさんからもらった精神安定剤・ヴィプクオリティを使うのは、これが初めてだった。

( ・∀・)この錠剤は水ナシってのが良いよね。

そう言うと、モララーさんはパソコンの前に着席した。




「ランクは?」

( ・∀・)中級

「表示はどうする?」

( ・∀・)クーさんが使ってたXPの表示に戻してくれるかな

クーさん。という固有名詞に皆が反応する。
が、既に着席したので声は出せない。

「わかった、少しまっていろ」

男の声がすると、僕がプレイしていたMeの画面が一瞬暗くなる。
そして、すぐにXPのマインスイーパに切り替わる。

表示された盤面は中級。
盤の大きさは16×16で、地雷の数は40。
中級の初挑戦が、始まった。




( ・∀・)……

( ・∀・)ここかな

一手目選択。

( ・∀・)おっ

やや開拓。また一手。

( ・∀・)………・ふぅ

一手選ぶごとに一息。
やっとのことで4手ほど選択したが、未だに手詰まりの様子は見えない。
しかし、たった4手に多くの時間を割いた。

( ・∀・)精神力を使うね
    こりゃ、薬が無ければプレッシャーにつぶされてたかもね

マウスを握る手は、震えていない。
汗もかいていない。
モララーさんの目は、まっすぐディスプレイだけを見つめている。




(;゚ー゚)(このままいけば……クリアできるかも?)

僕が隣にいるしぃさんを一瞥すると、彼女もこちらを見てきた。
彼女はすでに泣きやんでいたが、今度は汗をかいている。
緊張によって荒くなった呼吸でも、水分をかなり消費させられる。

カチッ

クリックの音がして、僕らはモララーさんの方に向き直る。
彼は先ほどと同じペースでクリックを続けている。

今は、とにかくモララーさんのプレイ成功を祈るだけだ。

カチ……カチ……

クリックする音だけが、響いている。




( ・∀・)ハイスコアを狙うわけじゃないから、ゆっくりやっても良いよね

現状、中級盤の半分ほどの土地が開いている。
モララーさんは手を止める。
手詰まったわけではない。僕から見ても、かなり開ける場所はある。

「ああ、ゆっくりしていけ」

( ・∀・)ゆっくり、ねえ……

早く出たいのは、モララーさんも同じだろう。
彼は「ミルナ」という上司に恩があるらしい。
人間のできたモララーさんが信頼をよせる人物。会ってみたい。

( ・∀・)焦れると良い仕事はできない
    焦らずやるよ

クリアは、ぼんやりと見えてきている。
このまま、失敗さえしなければ




( ・∀・)ふー。汗かいてきた

モララーさんはそう言ったが、彼が露出している部分の肌には、汗は浮かんでいなかった。
が、しきりにハンカチで額や首を拭いている。
プレイ開始から、何度も休憩を挟んでいる。

( ・∀・)さて、再開するかね

モララーさんは、ここまで喋る人だったろうか。
口数が増えるのは、精神的な圧迫のせいか。
僕も、プレイ中は周りの沈黙に耐えかねて、思ったことが口に出ることもあった。

( ・∀・)あ、その前に、君たちに伝えたいことがある。

モララーさんは、ディスプレイを見つめたまま僕ら8人に話しかけてくる
「伝えたいことがある」
僕らは、一斉にデジャヴを感じた。
クーさんの再現。

( ・∀・)もしも僕がここから出られなかったら、
     「ラウンジ商事」の東風=ミルナ部長に伝えてほしいんだ。

クーさんと、同じ流れ。
自分の知り合いに、おそらくは大切な人に、




( ・∀・)東風部長は、福岡の博多にいると思う。
     僕や部長はそこで働いているんだ。

僕ら8人はそれを聞くしかない。
僕らを見ずに、モララーさんは話を続ける。

( ・∀・)「お世話になりました」
    って、伝えてくれる?

('、`#川……

ペニサスさんは、何かに怒ったようだった。
僕やショボン君や、しぃさんには分からない、何かを感じ取ったようだ。
中級挑戦者の3人のことは、深くまで読めない。

( ・∀・)ま、クリアするつもりではいるんだけどさ




( ・∀・)条件が一番厳しいっていっても、所詮は中級でしょ

彼はどんどん土地を広げていく。
旗も次々に立てていく。
僕が見たところ、旗の立て方に失敗は、無い。

( ・∀・)残りは1/4ってところかな

正方形の中級盤は、もう既にかなり開かれている。

( ・∀・)……

プレイは進行する。
普通ならとっくに終わっていても良い時間だが、焦るわけにはいかない。
指先ひとつのミスで、命が奪われる。

モララーさんの挑戦しているランクは中級。
そのランクは僕らにとって初挑戦。
彼自身は、この中でもトップクラスの実力。

失敗が後に残す影響は、大きすぎる。




ついに残ったのは4マスだけとなった。右下の一番隅の1マスと、それを囲む3マスだ。
地雷は、残り1つ。
4マスの内、1マスが地雷。

( ・∀・)4マスある内の1つしか地雷が無い

( ・∀・)なら、このマスが地雷だね

モララーさんが迷わず指したのは、右から2列目、下から2行目のマスだった。
つまり、それ以外の3つのマスがセーフだと、モララーさんは推察した。
セーフだと判断したところを、迷わずクリックしようとする。

( ・∀・)この4マスの塊の上側のマスにも左側のマスにも地雷の反応があと一つずつある。

( ・∀・)どういうことか、っていうとね?
    上にも左にも接しているマスに地雷がある。
    最右下のマスは、どちらにも接していないからセーフ。
    その左のマスだと上に、上のマスだと左に接していないからセーフ。

モララーさんの説明も、中々に分かり易い。
が、それは紙の上に書いたらの話だ。

( ・∀・)だから、ここに地雷がある。

理解しきらない内に、また右から2列目、下から2行目のマスを指す。




( ・∀・)ちょっと冷静になれば分かることだ。

そうは言うが、ここまでベラベラ喋る彼の頭は冷静とは思えない。
「らしくない」のだ。

僕の頭では、モララーさんの判断が正しいのかどうか分からない。
彼が冷静では無いことだけは確かだが。
モララーさんの決断が正しいのかどうか、ドクオさんの方を見る。

彼はただ俯いて笑っていた。

判断、できない。
中級挑戦者達の、常識を越えた神経は、僕には分からない。
なぜ笑える。

( ・∀・)僕の判断が正しいかどうか、イマイチ自信が持てないかい?

プレイが始まってから初めて、モララーさんがこちらを振り向いた。
一重まぶたの目が、僕ら8人を捕らえていく。

( ・∀・)信じて、くれよ?

モララーさんは、またディスプレイの方へ顔を向けた。




僕では判断できないが、きっと大丈夫。
モララーさんを、彼の判断を、信じることにした。



モララーさんの右手に握りしめられたマウスが盤の右下へと動いていく。







カチッカチッカチッ








決断した三つのマスを、三連打




( ・∀・)成功、だよね

3つのマスから現れたのは、数字マス
つまり、地雷を踏まずに3マス開いた。
中級を、クリアした。

「苛猫ウララー。中級をクリア」
「残りは、初級2回・中級2回・上級2回・オリジナル盤を1回だな」
「未プレイ者は6人・一度クリアした者は3人、総プレイヤーで9人」

「なかなかやるじゃないか」

( ・∀・)そいつはどうも

「君は、僕にとって脅威となりうるかも知れないね。怖い怖い」

中級をクリアしたモララーさん。
彼がプレイ中に言った言葉を、もう一度思い出す。
「伝えたいことがある」

クーさんの声とダブったが、思い出せた。




「伝えたいことがある」
その言葉の続きを思い出そうとした時、ペニサスさんが立ち上がった。

('、`#川 モララー

( ・∀・)なんだい?

('、`#川 あんた、自分の言葉の責任も取らない気なの?

( ・∀・)んー?

('、`#川 自分で「東風部長に会いたい」とか言ったクセに、
     なんで他人に遺言を残すの!

( ・∀・)……

('、`#川 生きて帰ってみせろ!
     東風=ミルナとか言う奴に、会うんでしょ!?

ペニサスさんは、まくしたてる。
モララーさんはその勢いに気圧されていた。

( ´∀`)ペニサスさん。落ち着くモナ。

僕らがとまどっていると、モナーさんがペニサスさんへ声をかけた。
彼が発言するのは、珍しかった。




( ´∀`)そんなに興奮してると、何か起きた時に対応しきれないモナ

('、`#川……フーッ、フーッ!!

モナーさんの落ち着いた声を聞くと、ペニサスさんは黙った。
まるで猛獣と猛獣使いだ。
場違いな想像を、してしまった。

('、`*川………そうですね……

( ´∀`)モララーさんも、あまり軽率な発言は控えて下さいモナ
      クーさんの再現をしたモナね?
      あの言動は皆の心を動揺させたモナ

( ・∀・)……すみません

30過ぎくらいに見えるモララーさん。
30前くらいに見えるペニサスさん。
倍を生きた人間のしゃべり方と、その表情が彼らの緊張をとく。

モナーさんは、何者なんだ?




(;゚ー゚)モ、モナーさんは、何のお仕事をしていらっしゃったんですか?

( ´∀`)カウンセラー的な仕事、とでもいいますか、
      なんとも区分の難しい仕事でしたモナ
      正式な呼称だってなかったし……モナモナ

カウンセラー的。
なるほど、説き伏せるのではなく、落ち着かせるのが本分か。

( ・∀・)それでも、もしも、これから僕に何かあったら
      「お世話になりました」と、東風部長に、伝えてください

('、`*川………わかったわよ

言葉で返したのはペニサスさんだけだった。
僕らも、頷いて了承した。









―6―








モララーさんがクリアしてから、およそ30分が経とうとしていた。

( ゚∀゚)なんだ?アナウンスがかからねえな?

(´・ω・`)この時間に、僕らの状況を確認した方がよさそうですね……

( ・∀・)そうだね。落ち着くことができる。

( ´∀`)良いと思うモナ

从 ゚∀从私達は9人、残ってるランクは初級2回、中級2回、上級2回、オリジナル1回

(*゚ー゚)今まで、ハインさんが上級を、ブーン君が初級を、モララーさんが中級をクリアしたわ




( ゚∀゚)俺ら、未プレイ者の挑戦ランクを確認しようか

現在未プレイ者は6人。
ジョルジュさん。しぃさん。ショボン君。モナーさん。ドクオさん。ペニサスさん。

( ゚∀゚)俺は初級だ。あの姉ちゃんの仇も取りたい。

覚悟の上の発言。
自分の命をかける、初級のプレイ。
失敗者が出ているだけに、辛いランクだ。

(´・ω・`)上級をやらせてもらいます

(*゚ー゚)オリジナル。やるよ。
   クリアして見せるから

( ´∀`)ハインさんのプレイが始まる前から、上級と、決めていましたモナ
    情けない話だけど……すまないモナ……

死の危険の無いランク。
現状、その存在の意味は分からない。
少なくとも、僕には。

そしてあと二人の挑戦ランクは






('、`*川 中級

('A`) 中級

しぃさんやハインさんに見られる焦りは、この人達には見られない。
この二人とモララーさん、つまり中級挑戦者は、とにかく異質だ。
どこかが、ねじ曲がっている。







―7―






「来たかね、二人とも。椅子にかけたまえ」

( ´_ゝ`)何のご用でしょうか

(´<_` )……(人払いまでして、くだらん用事なら帰るぞ)

「わざわざ呼びつけてすまないね。流石=アニジャ・オトジャ執行人」

( ´_ゝ`)ええ、ご自身の任務である監視を中断までなされて、私達に何か?

「現在9人が残っているが、あと何人死ぬと思う?」

(´<_` )……(そんなことで呼び出したのか)

( ´_ゝ`)そうですね、最多でもあと3人かと

「理由を聞こうか」

( ´_ゝ`)まず中級が2回残っている、それをクリアするまでに1~2人。
    初級での失敗者が出ているので、焦り、初級でも1人。
    といったところでは。

「アニジャ執行人はあの緊張を味わったことが無いから予想が甘い」

( ´_ゝ`)監視官殿は、あと何人が死ぬとお考えで?




「6人、既に失敗した素直=クールを合わせて7人が死ぬ」

(´<_` )……

( ´_ゝ`)それはまた、多いですな
    理由を聞いてもよろしいですか?

「中級で3人は死ぬ。ノーミスは思っているよりも難しい。あの環境だとな」
「初級では2人、アニジャ執行人の言うとおり、素直=クールの失敗が響くだろうな」

( ´_ゝ`)あと一人は

「狂って死ぬ、だな」

(´<_` )………フン

( ´_ゝ`)誰が死ぬと?


「古猫。高岡。箱捨。長岡。下眉。そして内藤」




( ´_ゝ`)苛猫・鬱田・伊藤の3人が生き延びる……という予想ですか?
     鬱田=ドクオと伊藤=ペニサスは中級とか言ってますよ?

「だから、だよ。覚悟を決めた奴らに不可能は無い」
「もっとも、どちらかくらいは死ぬかも知れんが」

「オトジャ執行人は、どう予想する?」

(´<_` )……地上の見回りに、戻ります

( ´_ゝ`)あ、まてよオトジャ。勝手に出て行くな。

( ´_ゝ`)……仕方ない。失礼します

「ではな、アニジャ執行人。オトジャ執行人」






―8―





「次のプレーヤーが決まった」
「これで5人目だな」

「鬱田=ドクオ」

( ^ω^)ドクオさん…!

('∀`)俺か

('ー`)……………やってやるよ

(´・ω・`)……これ、使って下さい

ショボン君が、ドクオさんに精神安定剤「ヴィプクオリティ」を渡した。
が、受け取った彼は飲まない。

('ー`)……

「3分以内に着席せよ」
「着席しない場合……」

言い終わる前に、ドクオさんはパソコンの前の椅子に腰を下ろした。




「挑戦ランクは」

('ー`)……初…いや、中級

「表示画面は?」

('ー`)どうでも良いよ

「ではプレイを開始せよ」

('ー`)……

既にお決まりとなったスピーカーの声が終わって、ドクオさんのプレイが始まった。
モララーさんに続いての、中級2連発。
これをクリアするのは、かなり大きい。

だが、油断には、注意しなければならない。
中級は一度でもミスすれば失格。
リスクの高い、危険なランクだ。




('ー`)……

実質、このプレイ中にドクオさんの発言は無かった。
ドクオさんは指名された時から、口をつぐんで笑みを浮かべている。
もともと下唇が半開きになっていた顔だが、その隙間が閉じられている。

口を閉じれば、少し格好良く見えたが、それは言わなかった。
まあ、発言すれば失格になるんだけれども。

('ー`)……

誰も喋らない。

カチカチカチカチカチカチッ
カチカチカチカチカチカチッ

尋常ではないスピードで、旗が立てられ、盤が開いてゆく。
ただ者では、無い。
失敗を恐れていない。




マインスイーパをする上で大切な要素は3つと言われている。


『経験』と『勇気』と『安定』


『安定』は冷静さ、『勇気』は決断力と言い換えても良い。
言うまでも無いが、どれか一つでも無ければクリアはできない。
どれに重きを置くか、という話だ。

モララーさんや僕は経験で、クーさんは安定で、ハインさんは勇気で挑んだ。
失敗を恐れないドクオさんも、勇気で挑むタイプのようだった。

だが、勇気のタイプが強いのは、ハイスコアや良タイムを出す時。
絶対にクリアしなければならない時は、不得手になる。

('ー`)

彼のプレイに、不安が無いわけでは無かった。




('ー`)……

手が止まる。
行き詰まっているわけではない。モララーさんの時よりも順調かも知れない。

( ^ω^)……(中級、2コ目クリアかもわからんね)

そんな考えが頭の中をよぎった瞬間。
ドクオさんの表情にに変化が起きた。






(*'∀`#)




笑みが、変わった。




(;^ω^)(何だお?この笑顔は)

('∀`)ニヤニヤ

残っているのは中央下の方のマスのみ。
残り1マス。
旗は残り0、つまり全ての地雷の上に旗を置いたことになる。

('∀`)ニヤニヤニヤニヤ

('∀`)ニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤ
   ニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤ
   ニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤ

彼の笑みが、消えない。
クリアを目前にした喜びでは無い、別の笑みが、ずっと貼り付いている。
黒く長い前髪から見える笑顔は、狂った人間のものだった。

(;^ω^)(精神安定剤を飲めば……いや、そんなことに気は回らないかお)

(;^ω^)(無理矢理にでも、飲ませておけば良かったお)

(;^ω^)(これじゃあ、クリアできてもドクオさんの精神は壊れてしまうお!)




ドクオさんの操作によって、マウスカーソルはありえない動きをした。
残ったマスでは無く、既に旗が置かれているマスに、カーソルが動く。

つまりは、地雷があるマスに動いていく。

(;^ω^)(;゚ー゚)从;゚∀从(えっ?)(´・ω・`;)(゚∀゚;)(´∀`;)

( ・∀・)(こいつ、やっぱり)('、`#川


('∀`)ニヤニヤ


カチリ


「間違えて踏まないように」置かれていた旗のマスを右クリック。
「間違えて踏まないように」するための旗が消えた。消した。ドクオさんが。




踏めるように。
地雷を踏んで、失敗できるように。
失敗して、死ねるように。


('∀`)(思い出した!俺は!そうか!俺は!!!!)


カチッ

そして彼は、旗が消えたところ――地雷がある所を、左クリックした。
現れるのは、当たり前だが、地雷。


('∀`)生きててもしょうがないんだ!

地雷。



地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷
地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷
地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷地雷

















「鬱田=ドクオ。中級に失敗」
「執行人、連れて行け」





執行人がコンクリート部屋に入ってくる。
クーさんの時と同じ、ガタイの良い5人の黒服の男たちだ。

(*'∀`*)

取り残された8人は、ただ呆然と、閉じていく鉄の扉を見ていた。
扉が閉じても、言葉を発する者は居なかった。

ヴィプクオリティを飲ませておけば、と、後悔した。
まさか彼がプレッシャーに潰されるなんて、思わなかった。
僕は、ただ口をパクパクさせていた。

あまりにあっさりと、中級挑戦者が失格した。
部屋の中に残った8人は、皆呆気にとられていた。









―9―





('∀`)

暗い廊下に足音6つ!
僕とあなたとお前と君と、彼とあいつの6の音!

('∀`)なあ、あんたは何で生きてるんだ?

( ´_ゝ`)哲学か?頭が壊れてるのか?

(´<_` )……自殺するような奴だ。壊れてるんだろう

('∀`)あは!あはは!そうだね!

( ´_ゝ`)指名された時に壊れたのか?
      もっと前から壊れてたか?
      どっちにしても、心なんてモロいもんだな

(´<_` )……アニジャ

(;´_ゝ`)……うぐ、すまん

('∀`)怒られてやんの!怒られてやんの!



(´<_` )……ゴノネガイ執行人……ダマラセロ

(`・ д・´)オトジャ執行人、監視官からの命令ですから。
      きちんと執行室まで連れて行きませんか?

(´<_` )……ヤレ

(;`・ д・´)しかし、監視官がここの権限を持っているんです。
      命令違反をするわけには

( ´_ゝ`)はぁ……仕方ないな
     ゴノネガイにやらせるのも酷だから俺がやるか

(;`・ д・´)ア、アニジャ執行人!
      この廊下でやるんですか!?

( ´_ゝ`)こうなったオトジャには、誰も逆らえんよ

(´<_` )……ハヤク

('∀`)あははははは!あは!あは?あはは!
    あんた、これやるよ!
    俺が持ってても仕方ないしな!



(´<_` )……薬

( ´_ゝ`)あんまり変なもの飲むなよ、オトジャ。

( ´_ゝ`)最後に、何か言い残すことはあるか?鬱田=ドクオ。

('A`)…………

('ー`)…………

('∀`)バイバイ!

( ´_ゝ`)ああ、バイバイ

黒から赤へ!世界はペイント塗りつぶし!








―10―







クーさんに次ぐ、2人目の失格者が出た。
失格者は、「死亡者」とも言えるだろう。
誰も言い換える者は居なかったが。

ドクオさんの場合は、ただの失格ではなく、自ら勝利を捨てた。
目の前に転がっていた勝利を、自らの精神力に負けて、捨てた。
頼りにしていた中級挑戦者の一人だっただけに、皆の動揺は大きかった。







(;´∀`)なぜ……わざと失敗したモナ?

ドクオさんが部屋から居なくなって、最初に口を開いたのはモナーさんだった。
実のない言葉だったが、沈黙を破るためにはなんでも良かった。

( ゚∀゚)途中までマトモにプレイしてたよな?

(;´∀`)発狂したようでしたモナ……

( ゚∀゚)ああ、気持ち悪い笑顔だった。
     正気の人間には出せないぜ

ドクオさんの最後は完全に狂っていた。
精神について研究したわけでもない僕にも、容易に感じ取れた。




( ・∀・)ひょっとすると、最初から死にたがってたのかもね

('、`*川 最初からって、いつから?

( ・∀・)プレイが始まった時、この部屋に入った時?
     いや……もっと前から、死にたがってたのかも

('、`#川 なら中級をクリアしてから自殺すれば良かったじゃない!
     なんで私達の脱出を遠ざけたの!?

ペニサスさんの言葉は、タブーだった。
僕ら8人が、今、最も言ってはいけない言葉だった。

( ・∀・)クリアしてから、自殺すれば良かった?

( ・∀・)ふざけるなペニサス。




('、`#川 誰もふざけてないわ!
      だって死ぬなら同じでしょう!?

( ・∀・)そういう問題じゃねえんだよ。
      クリアした俺やブーンやハインリッヒに、死ねば良いと言ったのと一緒だ。

('、`#川 一緒じゃないわよ
      死にたいなら、皆のために生きてから死ねば良い!

( ・∀・)皆のために生きて、どうなる。
      それも、出会って数時間ばかりの他人のために。

('、`#川 ッ!
     それでも無駄死にするより!そっちの方がマシでしょう!?

( ・∀・)俺は、死にたくなったら死ぬ。
      どうせ失うモノも無い。東風部長に会えなくなるのは辛いが、それだけだ。
      死ねばつらさも感じない。

('、`#川 あんたねえ!自分が何言ってるか分かってるの!?

( ・∀・)お前こそ、自分が何言ってるのか分かってるか!?
      ドクオの死を踏みにじってるのはそっちだぞ




('、`#川 ふん! (#・∀・)

(;^ω^)……二人とも、落ち着いてくださいお。
     ドクオさんだって、まだ死んだとは限りませんお

(;´・ω・`)そ、そうですよ!
      クーさんもドクオさんも!まだ助かるかも知れません!

僕とショボン君は、根拠のない推測で周りを落ち着かせようとした。
が、この人の言葉で、それは一蹴された。

(;゚∀゚)あー、すまねえな。
    さっき鉄のドアのあっちから銃声が聞こえたんだわ。
    たぶん、ドクオに向かって撃ったんだと思う。

ジョルジュさんの聴力の良さを、恨んでしまった。




「騒いでいるところをすまないね」
「次のプレーヤーが決まった」

(#゚∀゚)来いやあ!!!

「はは、威勢が良いな、長岡=ジョルジュ」
「だが、次のプレーヤーは君ではない」

(#゚∀゚) チッ

「次のプレーヤーは、古猫」
「古猫=モナー」

( ´∀`)…………モナ

( ゚∀゚)頑張れよ

「今から3分以内に着席せよ」
「着席しなかった場合。君らを殺す」

( ´∀`)分かってる、モナ




( ´∀`)その前に……ショボン君。

(´・ω・`)薬ですか?

( ´∀`)モナ

(´・ω・`)どうぞ

薬なので、目に見えた効果は無い。
どのくらいで効果が出始めるのかも分からない。
が、モナーさんはヴィプクオリティを飲むとすぐに着席した。

( ´∀`)始めるモナ

「ランクを、指定しろ」

モナーさんの挑戦するランクは、上級のはずだ。
上級とオリジナルは、死ぬ危険が無い。

( ´∀`)………ランクは……




( ´∀`)……

「ランクは?」

( ´∀`)………中級

(;^ω^)ッ!

違う!あなたの挑戦するランクは上級だ!
思わず声が出そうになった。
が、出してはいけない。

(;゚∀゚)………ッ!!
(;゚ -゚)………!?
从;゚∀从………!!?
( ・∀・)………
(゚д゚;川………?
(;´・ω・`)………!




( ´∀`)表示はこのままで良いモナ

「そうか、では始めろ」

( ´∀`)モナモナ

モナーさんは死ぬ危険が無い。
少なくとも、初回のプレイでは死なないと思っていた。

死なないプレイならばなぜ彼はヴィプクオリティを受け取った。飲んだ。
死ぬかも知れないという状況に赴くから。
中級に、挑むから。


モナーさんに、騙された。


( ´∀`)皆。そんなに驚かなくても良いモナ
      中級をクリアすればもうけ者。くらいに思ってくれれば、それで良いモナよ
      上級は、僕がやるよりも、ペニサスさん達にやってもらいたいモナ

モナーさんが成功すれば、かなり楽にはなるが、こんな精神では勝てるハズが無い。
少なくとも、死ぬという前提でプレイしている限りは、ロクな結果にならない。




( ´∀`)カチッカチ

彼の手は震えていた。
モナーさんも本当は生きたいのか。
生きたいなら、なぜ上級を選ばなかったんだ。

( ´∀`)カチ

徐々にマスを広げているが、モララーさんと比べると、かなり遅い。
開いたのは20マスのみ。
中級の16×16盤の、ほんの一部。

( ´∀`)私は、とある農家で育ったモナ

モナーさんが、昔のことを語り出した。
ジョルジュさんの体が、反応するのが分かった。

( ´∀`)一人っ子だったし、いずれ家を継ぐんだとばかり思ってたモナ

( ´∀`)でも、そうはならなかったモナ




( ´∀`)私が中学生の頃、父が1000万の借金を作ったモナ

( ´∀`)あの頃の1000万だから、かなりの高額モナよ?

( ´∀`)誰よりも早く家から逃げたのは、私だったモナ

彼の話は、僕の頭に届いては居なかった。
モナーさんのランクの選択に、まだ動揺していた。
他の皆も、きっと同じだろう。

( ´∀`)若かった私は、東京へ逃げたけれども、お金はすぐに尽きた。

( ´∀`)職業とお金が欲しかった。

( ´∀`)そんな時に、ある仕事が舞い込んできたモナ

まともに聞ける状態の人は、おそらく居ない。
が、かまわずに喋ることで、モナーさん自信が落ち着こうとしている。
生きるために必死だった。




( ´∀`)スカルチノフ財団の専属カウンセラー。モナ

スカルチノフ財団。
カウンセラー。
それらの言葉は、全て僕の頭からすり抜けていった。

( ´∀`)もっとも、資格も経験も無い私は、正式なカウンセラーでは無かったモナ

( ´∀`)仕事は社員のグチを聞くこと。
     あとはネット環境の無いパソコンでマインスイーパをやってたモナ

( ´∀`)でも、そんな私を、スカルチノフ社長は温かく見守ってくれたモナ

( ´∀`)とても、感謝してたモナ
     でも、彼も昨年、私の退職と同時期に他界したモナ

( ´∀`)スカルチノフ社長が亡くなった今、私は死んでも良いと思ってる
      けれど、未来がある君たちには死んでほしくない。
      だからこそ、私は中級を選んだんです

(;´∀`)身勝手かも知れませんが、怒らないでくださいモナ

そこでモナーさんは話を切った。




怒らないでください。

その言葉を最後に、モナーさんは一切言葉を発さなくなった。
61歳の弱った体が、皆の不安を背負った背中が、一層弱く見えた。

(;^ω^)(生き残ってくださいお……)

プレイ自体は順調ではある。
が、プレイしているのは中級。
いつ、何が起きてもおかしくない。

既に何かが起きていても、おかしくない。

( ´∀`)古猫=モナーにとって、
      一世一代の大勝負ですモナ!

鼓舞する。
コンクリートの部屋に響いたのは、モナーさんの声だけだ。




ここまでのプレイは順調だった。
順調だったように、見えていた。

( ・∀・)………(おいおい)

気づいた者はいたのかも知れない。

('、`*川 ……(まさか、ここで来るとはね)

気づいても、気づけていても、指摘できない。

カチカチ

プレイは進む。
僕らに不安を残して。
失敗を、残して。




(;^ω^)……?

違和感。
地雷の数がおかしい。
旗の立て方を間違えている。


中級盤の右上あたり、安全地帯に旗が立っていた。


从 ゚∀从……!

プレイが進むにつれて、気づく者も多くなった。
現在、気づいていないのはモナーさんだけかも知れない。

( ´∀`)………

気付け!早く!
そこに旗を立ててはいけない!計算が狂う!

声に出せない。
プレイ中の発言は、特にプレイヤーへの助言は、禁じられている。
悔しい。




( ´∀`)


失敗を残したまま、プレイは進み












カチ















地雷が現れた。










「古猫=モナー」
「中級の挑戦に失敗」

「失敗者が連続したな」
「ははは、きつくなるが、頑張ってくれたまえよ」

( ´∀`)………

モナーさんは、しっかりと僕らを見ていた。
細い目が、優しい目が、僕ら一人一人の顔を捕らえていく。

「執行人、古猫を連れて行け」

彼は、最後まで笑っていた。
鉄の扉が開いて、次に閉じるまで
モナーさんは何も言わずに、子供をあやすような柔和な笑みを浮かべていた。








―11―






( ´∀`)……

(`・ д・´)ほら、歩け

20台の、いかにも強そうな男が、私の足を蹴る。
この男の他にも4人の「執行人」が私の周りを固めている。

( ´∀`)執行人……

( ´_ゝ`)なんだ

( ´∀`)……

(´<_` )…チッ

私は、もう何も言い残すことは無い。
あと10歳若ければ、あんな失敗はしなかったかも知れない。
けど、もういいんだ。

悔いが残るとすれば、彼らの笑顔を見てみたかった。
だが、今の私にはその資格が無くなった。




( ´_ゝ`)ここが執行室だ
     お前はここで殺される。

( ´∀`)……

私の視線は、あるモノに釘付けになった。

( ´_ゝ`)ああ、アレか?
     素直=クールと鬱田=ドクオの死体だ。
     素直の方はここで、鬱田はさっきの通路で死んだ。

(`・ д・´)鬱田の死体は思ったよりも重くてな、運ぶのが大変だった。

(´<_` )ゴノネガイ……

( ´_ゝ`)あまり余計なことは言うな、ゴノネガイ執行人

(;`・ д・´)す、すみません……

淡々と死体の説明をする彼らは、異常だった。
死体を見ても動揺しなかった私も、異常だっただろうか。




( ´_ゝ`)ま、今から死ぬ奴には、何を言ってもかまわんのだがな

その言葉で、やっと自分がこれから死ぬのだ。と確認できた。
そして執行人は遺言を聞いてくる。

( ´_ゝ`)何か、言い残すことは?

( ´∀`)……無いモナ

( ´_ゝ`)そうか、じゃあな

黒服の男の、黒い銃が私の頭に突きつけられる。
あまりにも簡単に、私の60年と少しの人生は、幕を閉じた。












―12―



ドクオさんとモナーさんが、連続して失格。
もう、負けられない。
次のプレーヤーには、確実に成功してもらいたい。




( ・∀・)ドクオの発狂が影響したね。
     流石にカウンセラー、表情には出さなかったけど、注意して見ればすぐに分かる。

( ・∀・)モナーさんには、生きて欲しかった。
     僕らの間を取り持つ、緩衝剤みたいな人だったから

(;^ω^)ドクオさんが成功していれば、モナーさんも生きてたかも知れない、ですかお?

( ゚∀゚)仮定の話はやめようぜ
    これからどうなるか、が大切なんだ。

( ゚∀゚)クソッ……

(*;ー;)……ヒック……

('、`#川 私は成功させてみせるわ

もはや、ショボン君としぃさんとハインさんは、喋ることすらままならないようだ。
ドクオさん、モナーさんの二人が連続で失敗。
衝撃は、大きすぎる。




「悲しむ暇は無いぞ」
「次のプレーヤーが決まった」

あの忌々しいアナウンスがスピーカーから聞こえた。
ぶち殺してやりたい。

( ・∀・)その前に、一つ聞きたい

「なんだ」

( ・∀・)食事はどうするんだ

「あと3時間耐えろ」

( ・∀・)一応、食事は用意してあるのか

「まあな、お前らが死ぬのは初・中級に失敗した時だけだ」
「もっとも、例外はあるが……」

( ・∀・)例外?

「なんでもない」
「それより、プレイを進めようか」
「7人目のプレーヤーは……」




「長岡=ジョルジュ」
「君が次のプレーヤーだ」

(;゚∀゚)!

「これより3分以内に着席せよ」
「着席しなかったら、……っと、これはもう言わなくて良いか」

( ゚∀゚)ブーン、お前らに一つ言っておきたい

(゚∀゚ )何があっても、動揺するな
     俺は必ず生きて帰る

( ゚∀゚)(何をしてでも……生きのびてみせる)

ジョルジュさんの端正な顔がこちらを向く。
汗は浮かんでいない。
緊張は見られない。

( ゚∀゚)さて、始めようか

ジョルジュさんが着席した。




「では、ランクを選べ」

ジョルジュさんの挑戦するランクは初級。
クーさんの仇討ちという理由からも、その意志は強くなっているはずだ。

( ゚∀゚)………

( ゚∀゚)………

時間が空く。
誰も喋らない時間が続く。

早く選ばなければ、ゲーム放棄と見なされるかもしれない。
ゲームの挑戦権放棄は、失格

早く、選べ。

(;^ω^)(早く!)

「ランクは?」
「早く選ばないと、失格にするぞ?」




  _
( ゚∀゚)上級

(;^ω^)…………!!!!

('、`;川…………!

( ・∀・)、…………

从 ゚∀从 ?

こいつ、こいつ!
命の危険の無い上級を選びやがった!
上級はあと2回挑戦することになっていた。

そのうちの1回はショボン君。
もう1回はモナーさんの予定だったが、そこが空いた。
そこに、ジョルジュさんが割って入った。

命を守るために。
自分「だけ」が生き延びるために。




文句はいえない。
発言できないというルールがある。

しかしそれ以上に、この状況で僕自身がどういう選択をしたか。分からない。
二人連続で失敗した後に、果たして危険を孕んだランクを選ぶだろうか?
ひょっとしたら、保身のために上級を選んだかも知れない。

(#^ω^)

誰も言葉は発さないが、雰囲気は変わった。
コンクリート部屋には、怒りが満ちていた。
それと、ほんのちょっとの自己嫌悪が。

( ゚∀゚)………

何度失敗しても死ぬことはない。
絶対に安全な、誰もが欲しがるべきランク
それが上級




そこで、気づいた。
上級の存在の意味に。

確実に生き延られるなら、プレイヤーは上級に殺到するはず。
モナーさんは例外だが、僕らは「たまたま」開始前の予定通りにプレイした。
しかし本来は、自分が生き残るために騙しあうべきだったのだ。

最初に選ばれた3人が全員上級を選んでも、おかしくなかった
既クリア者となり、他の者が初級や中級をクリアするのを待つ。
それが、一番の保身策だからだ。

クーさんが気づけなかったのは、考えが素直すぎたからだろう。
いや、彼女は気づいていても初級を選んだろう。

もし僕が気づいていたら、僕は上級を選んでいただろうか……?

僕はクーさんのように正義感が強くはない。
ひょっとしたら、今のジョルジュさんのようになっていたかも知れない。

( ´ω`)(僕はジョルジュさんに文句は言えないお……)




ジョルジュさんのプレイはいまいちだった。
ミスを何度か繰り返しており、中々クリアは見えてこない。

ミスをすると、自動で新たなプレイ画面に切り替わる。
おそらく遠くから操作しているのだろうが、仕組みはよく分からない。
そもそも、「やり直し」をしたのはジョルジュさんが初めてだ

(;^ω^)(ハインさんは一発クリアだったお……)

从;゚∀从(意外とミスが重なるもんだな……)

(;´・ω・`)(やはり、先ほどの二人が影響しているのかな)

('、`;川(ジョルジュの奴……上級を……!!!)




中級挑戦者の一人が、コンクリートの床に指でリズムを刻んでいる。

トントントン

('、`#川 ……

ペニサスさんだった。
顔を見れば分かるが、彼女は苛立っていた。

ドクオさんの発狂。モララーさんとの口論。
モナーさんの宣言を覆したことによる失格。ジョルジュさんの裏切り。
全てが、彼女を刺激していた。

特にこれは100%自分の保身に走った行動だった。
繰り返すが、ペニサスさんはとにかく苛立っていた

('、`#川 ……

トントントン




('、`#川 ……

トントントン

彼女は同じ中級挑戦者であるドクオさん・モララーさんに比べると「異常」では無い。
一般人と比べると確かに変わってはいるが、それだけだ。
「異常」度が低い彼女が、命のリスクの高い中級を選ぶだろうか。

ましてや、皆が宣言を覆し始めているこの状況で。

('、`#川 ……

彼女を、信じるしかない。
彼女が中級をクリアすれば、僕らの解放はかなり近づく。
これから少しの間は、ペニサスさん次第といっても過言では無いかも知れない。




('、`#川 ……

トントントン

('、`#川 ……

トントントントントントン

「伊藤=ペニサス。その音を止めろ」
「プレイヤーとの会話とみなし、お前と長岡=ジョルジュを失格にするぞ」

('、`#川 ……

……

音は、無くなった。
再びジョルジュさんのクリック音しか聞こえなくなる。









ジョルジュさんがクリアしたのは、プレイ開始から15分が経ったころだった。
形はどうあれ、連続失格者は2人でストップさせた。
あくまで「形はどうあれ」だが




「長岡=ジョルジュ。上級クリア、おめでとう」

「軽く確認しようか」
「クリア者は4人。未プレイ者は3人。失格者は3人」
「残りは初級2回。中級2回。上級1回。オリジナル1回だな」

( ゚∀゚)……

「次のプレーヤーが終わったら、少し早いが食事を持って行かせよう」
「次を決めるまで、休んでいてくれたまえ」

そこで、スピーカーからの声は止んだ。
そしてペニサスさんの怒声。

('Д`#川 ジョルジュ!自分が何やったかわかってんのか!?
     モナーさんがあそこまで命を張ったのに比べて!お前は保身か!?
     自分が可愛いのは分かるが、男なら初級くらいやってみせろ!!!

(  ∀ )……

ジョルジュさんからの答えは無い。




( ・∀・)終わったものは仕方ない
     ジョルジュ。今は休め。
     ペニサス。次はお前かも知れないんだ。お前も落ち着け。

(  ∀ )……モララー……すまねえ……

すまねえ。で済む問題では無いことは、ジョルジュさんが一番知っているだろう。
彼はこれで既クリア者となり、1巡目はまだ終わっていない。
つまり、彼にも次の指名まで猶予ができる。

現在3人いる未プレイ者が全員プレイすると、「2巡目」が回ってくる。
それまでは、安全。

ジョルジュさんが2巡目でどのランクを選ぶのか、今は分からない。




( ・∀・)ちょっくらトイレに行ってくる

モララーさんが席を立つと、コンクリート部屋に残っているのは6人。
あまりに頼りない6人だ。

ドクオさん。モナーさん。クーさん。
実力。メンタル。雰囲気。
この3つをそれぞれ支えていた3人は、ここには居ない。

モララーさんは全てをカバーできるほどの能力を持っているが、一人では辛い。
ペニサスさんの実力も、きっとドクオさんには劣るだろう。

(*゚ -゚)ブーン君。大丈夫?

考え事(不安がってただけだが)をしていると、しぃさんが声をかけてきた。
彼女はモナーさんが部屋から消えた時はかなり取り乱していたが、今は少し落ち着いたように見える。
落ち着けてないのは、僕だけなのかも知れない。




(;^ω^)大丈夫です……お

(*゚ー゚)そうは見えないけど?
    何か心配なことがあったら、私に言ってね
    頼りないかも知れないけど、これでも年上だから。

僕より年下なのはショボン君だけです

(*゚ -゚)なんて言ってるけど、実は私も不安なの。
    私、オリジナルをやるって言ったじゃない?
    でも、あんなオリジナルの設定、やったことが無いの

(;^ω^)最大盤で、地雷200……でしたかお……

膨大な数だ。
せめてもう少し盤が大きければ、クリアの光も見えるかも知れないのに

(*゚ -゚)想像つかないわ。
    でも、クリアしなくちゃいけない。

しぃさんが言い切ると、モララーさんがトイレから出てきた。
僕らの話は、一旦そこでうちきられた。




( ゚∀゚)生きてやる……

(´・ω・`)え?何か言いました?

( ゚∀゚)いや……なんでもねえよ



( ゚∀゚)(醜くても、いくら蔑まれても、絶対に生き延びてやる)



ジョルジュさんが上級を、裏切りによってクリアし、また一つ挑戦ランクは減った。
初級2回・中級2回・上級1回・オリジナル1回。









―13―





( ・∀・)マインスイーパの特徴はなんだと思う?


( ^ω^)相手が機械だからプレイ自体にはズルができないこと
(´・ω・`)一人用のゲームであること
从 ゚∀从 運の要素も絡むこと


( ・∀・)そうだね、パッとあがるのはそのくらいだよ
    中でも一番大切なのはショボン君が言ってくれた、一人用であること。

( ・∀・)プレイ中に他の者が発言できないようにしたのも、意味がありそうだ。

( ・∀・)沈黙の中で、対戦相手すら無生物。
      完全な孤独の中で闘うんだ。精神的に辛すぎる



( ・∀・)そして、次に設定について考えようか


( ・∀・)初・中・上を3回ずつ、オリジナルを1回クリアせねばならない。

( ・∀・)なんでオリジナルなんて付けたんだろうね?
     仲間内の混乱や裏切りを誘うなら、上級を4回つければ良いだけなのに

( ^ω^)……確かに、そうですおね

( ・∀・)さらに不可解なのは、オリジナルの難易度の高さだ
     最大盤で200の地雷。容易にクリアできるような設定では無い。

(;゚ー゚)うーん……

( ・∀・)そして最大の謎は、「スピーカー男」や「執行人」が誰なのか。
      こうして考えると謎だらけだよ




( ・∀・)全国から、老若男女問わず、ここへ連れてこられた。

( ・∀・)この事から考えると、個人の行動じゃないね。
      何らかの団体かな?テロリストだったり、宗教だったり。

('、`*川 でも、誰がやったかなんて、今は関係なくない?

( ・∀・)そうだね、今はね。

( ・∀・)でもここから出たときにd

「次のプレーヤーが決まった」




僕らの会話は、またもスピーカーからの声によって打ちきられた。




「下眉=ボーノン」
「3分以内に着席せよ」

( ^ω^)?

聞いたことのない、分からない名前だ。
未プレイ者の内の誰か、のはずだが

(´・ω・`)僕、ですか。

そっか、ショボン君は偽名を使っていたんだった。

(;^ω^)ショボン君かお……、大丈夫かお?

(´・ω・`)……ええ、ヴィプクオリティも飲みましたしね。

精神安定剤なんて、気休めなのは分かってる。
こんな状況だと、「何もないよりマシ」程度にしかならない。

(´・ω・`)行ってきます




たった数メートルの距離を阻むものは何もない。
床に腰を下ろしていたショボン君がゆっくりと立ち上がり、今度は椅子に腰掛けた。
画面に表示されているのは、先ほどジョルジュさんが成功した上級の画面。

(´・ω・`)座りましたよ

「ランクを選択せよ」



(´・ω・`)初級



上級を選ぶ、と宣言しておきながら、命の危険がある初級を選ぶのか。
モナーさんのように、命を散らしてしまうのか?
不安がよぎっても、彼の選択を変更することはできない。

(´・ω・`)……

予告を覆すことには、もはや誰も驚かなかった。
モナーさん。ジョルジュさん。と、連続して宣言を覆したから、
皆が慣れてしまったのだろうか。




(´・ω・`)表示はこのままで良いです

「そうか、ではプレイを開始しろ」

(´・ω・`)…………

初球に挑戦したのはこれまで2人。
クーさんと僕、だけだ。
クーさんは失敗、僕は成功。

(´・ω・`)

山梨県からマインスイーパに集められた小学生。
ショボン君こと、下眉=ボーノン。
彼の実力は、分からない。

初級は簡単だが、それは一般的な場合だ。
一度でもミスすれば失格というこの状況だと、話は変わってくる。
実際、クーさんは初級に飲み込まれてしまった。




(´・ω・`)まずは…一つ開けないとといけませんね……

ここで、パネルを複数ひらくことができれば(数字マスでない、空白のマスを開けば)
初球ならまず間違いなくクリアできる。

(´・ω・`)…………

彼はきっと迷っているのだ。
角を開くべきか、辺のマスを開くべきか、それとも中央を開くべきか。
一手目を、どこにするか。

(´・ω・`)…………

リスクとリターンのバランスを考えるなら、一手目は辺に接しているパネルを取るべきだ。




(´・ω・`)…………上辺パネルが……一番良いかな

そう。辺のパネルを、開け。

(´・ω・`)……いや、カドから攻める……?

それはダメだ。リスクを考えきれていない。

たとえ「1」のマスでも、次に地雷を引く可能性は1/3。
次を一手目とは別の場所を選ぶという賭けもできなくは無い。
が、クーさんはそれで失敗したのだから、しづらい。

(´・ω・`)……それとも真ん中?

中央は一見リスクが低そうに見える。
しかし何度か初級をクリアしてみれば分かるが、空白の存在比は辺の方が高い。
中央は、数字マスが多すぎるのだ。

(´・ω・`)………………




(;´・ω・`)……決めました





カチ




マスのグラフィックが窪む。

(;´・ω・`)…………


ランクにかかわらず、一手目で地雷は無い。
だから即失格ということはありえない。
問題は何のパネルが出たのか。

マウスを抑えている手を離せば、結果が出る
それを確認するために手を離す。










ショボン君の選んだマスは、上辺に接しているマスだった。

(*´・ω・`)…………いよっしゃ!!!!!!







( ^ω^)!!!!!!('、`*川

ショボン君の隣から画面をのぞき込む。
そこにあったのは、多くのパネルが開かれた初級盤だった。
やった。やりおった。

開いたのは空白のマス。
この初級、既にいただいたも同然だった。

(*´・ω・`)イケルイケル

やや高い声が、コンクリート部屋に響く。

その後もいくつか空白パネルが開いていく。
流石に初級盤だと、開くのが早い。
あっと言う間に9割近くのパネルが開いた。




とうとう地雷の数はあと1になった。
クリアは目前。

見たところ旗の立て間違いのようなミスもしていない。

(*´・ω・`)

あとはクリックミスさえしなければ、大丈夫だ。

残りマスは5、4、3
クリアへのカウントダウン。
地雷はあと一つ。

(*´・ω・`)

クリックミスさえしなければ、大丈夫だ




ガチガチガチ!!!!!








     (*´・ω・`*)っしゃあああああああ!!!!!!!!!

     (*´゚ω゚`*)初級クリアだああああああ!!!!!!











左後方から見ていた僕と、右後方から見ていたペニサスさんも、思わずガッツポーズをした。
全て開いた。
初級を、クリアした。

(*´・ω・`)やりました!!

ショボン君は椅子から立ち上がって皆が待っている方へ走って行く。

「下眉=ボーノン。初級クリアおめでとう」
「残りは初級1回、中級2回、上級1回、オリジナル1回だな」

中級が2回あるものの、かなり楽になっている。
命の危険にさらされるのは、あと3回。
良い流れだ。

从*゚∀从よくやった!偉いぞ!

おそらくこれまでの挑戦者の中で最短タイムでの成功だろう。




ショボン君の初級への挑戦は、僕らに大切なことを教えてくれた。

「意外となんとかなる」

ケセラセラ。
流れに身を任せる、というのとは少し違うが、これは「イケル」かも知れない。

ここに残った7人が、全員生きて帰れる可能性は、まだ低い。
が、当初予想していた人数よりも遥かに多くの人が帰れそうだ。

不安が無いわけではない。
が、皆から「生きて帰れる」という希望が見えだした。
小学生であるショボン君が、ここまでやるとは思ってなかったのだろう。




一通り褒めちぎり終わると、皆は少し落ち着いたようだった。
というかショボン君、ヴィプクオリティは効いてるのかな?
あまりにテンションが高かったが。

一瞬の沈黙を見計らって、モララーさんが口を開いた。

( ・∀・)スピーカー。とりあえずメシを持ってきてくれないか?

「ああ、朝食の時間か」
「執行人に持って行かせよう」

( ・∀・)誰が作ってるんだ?

「執行人が数名で作っている」

( ・∀・)あの男達が料理できるのか?
     ま、文句はつけられる立場じゃないけどさ

「はは、執行人はいかつい男達だけだからな。苛猫の不安も分かるさ」
「だが、心配はいらない。彼らは料理も中々上手だぞ」

( ・∀・)ふーん、楽しみにしてるぜ





―14―






しばらくして運ばれてきた料理は、白米と魚料理と味噌汁だった。
正直、美味しそうには見えなかった。特に味噌汁は。
腹を満たすには十分な量が用意されていた。

(-_-) 食事が終わり次第、食器は下げる……
    食べ残しは……持っていても良いぞ

5人の執行人の内、もっとも高齢でありそうな男が口を開いた。

(`・ д・´)一応、3日分くらいは用意してある。
     そんなにかかるはずは無いが、な。

今度は一番若そうな男。

(メ^Д^)一日に2回ほど来る。
    ロクに動かないから丁度良いと思う

最後に頬に傷のある男。

(´<_` )……
( ´_ゝ`)……

他の2人の執行人は、黙って僕らの様子を見ていた。
5人の執行人をゆっくりと見るのは、これが初めてだった。




(メ^Д^)……

( ^ω^)……(頬に傷があるお)

(メ^Д^)……

( ^ω^)……(怖い感じの人だお)

(メ^Д^)んっ?何かアレルギーがあるか?

(;^ω^)い、いえっ。無いですお!
     いただきますお

(メ^Д^)( ´_ゝ`)(´<_` )(`・ д・´)(-_-)

頬傷男の他も、ワケアリの人達ばかりのようだった。




(-_-) ……ジロジロ見るなよ……撃つぞ

しまった、あまりに視線をむけすぎたか。
とっさに目をそらしてしまう。
っていうかこの人、サラリと怖いこと言ったよ

(メ^Д^)ヒッキーさん、行きましょう
      勝手にプレイヤーを撃っちゃいけませんよ

(-_-) ……何様だ、お前

(メ^Д^)監視官からの命令なんです。
      あと、一応僕の方が上司なんですから、言うこと聞いてくださいよ
      
(-_-) 分かった。分かりましたよ……笑野=プギャー執行長。




(;^ω^)(助かったお…………あの暗い感じのオッチャン、危ない奴だお)

(;^ω^)(頬傷男はまだマシな方かお?)

何はともあれ、頬傷男の言葉によって執行人はおとなしく出て行った。
鉄の扉が閉められ、鍵がかけられる音がした。






僕らのマインスイーパは、後半戦を迎えようとしていた。












―15―



( ・∀・)食事は意外と量があったな

('、`*川 そうね、ちょっと薄味な気がしたけど

料理の批評をする二人からは、かなりの余裕が感じ取れた。
ただのポーズではなく、心のどこを探しても不安なんて見つからないだろう。

( ・∀・)未プレイ者は?


('、`*川 私と……

(*゚ー゚) 私です。


( ・∀・)あと二人で一巡か……

僕らのプレイが一巡しきる前に、3人の失格者が出てしまった。
二巡目でこのゲームを終わらせたいところだ。




(*゚ー゚)

しぃさん

('、`*川

ペニサスさん






この二人はそれぞれ違う形で、皆を裏切ることになる。







―16―





「食事はどうだったかな?」
「満足いただけたら、何よりだよ」
「さて、次のプレーヤーを指名しようか」

「君だ。伊藤=ペニサス」

('、`*川 へいへい

「3分以内に着席せよ」
「着席しなかった場合は、プレイ権を放棄したと見なし、失格とする」
「また、着席した後もプレイを始める様子が見られなかったら、失格とする」

( ・∀・)頑張れよ

('、`*川 わかってるわよ

ショボン君の時とは違い、皆が床に腰を下ろしている。
ペニサスさんだけが立ち上がり、パソコンの前へと移動する。




('、`*川 ほい、座ったよ

「挑戦するランクを選べ」

('、`*川 んー、っと。中…………

「中級か?」

('、`*川 んにゃ、やっぱり上級で

「上級だな」

('、`*川 ん


(;^ω^)(マジかお……ここで中級の裏切りかお……)

なかば予想の範囲内だったが、ペニサスさんにはせめて初級くらいをクリアしてもらいたかった。
勝手に抱いていた期待だが、それを裏切られた感はある。
彼女が上級を選んだことによって、既に後は無くなった。




('、`*川 上級はね、先に潰すのが良いのよ

(#・∀・)……

('、`*川 後回しにして、全体がピンチの時に誰かが裏切ったりしたらどうなると思う?

('、`*川 そこでマインスイーパー達の絆は崩壊。
     ゲームを続行できるかどうかすら怪しい

自分を擁護するようにしか聞こえなかった。
それが目的で言ってるんだろうけど。
罪悪感は、少しでも感じてるのかな

('、`*川 私の後は、たぶんしぃちゃんがオリジナルをやる

('、`*川 これで誰も「後回し」ができない。
     皆がマインスイーパに本気になるには、上級は邪魔なの。
     だから先に潰す必要があった




ペニサスさんは今度はパソコンの方に視線を向けた。

僕らの非難から逃れるように。

('、`*川 ま、文句なら後で聞くから。今は黙ってなさい

ペニサスさんに言われなくても黙るよ
喋ればペニサスさんもろとも失格。
そのまま殺される。


それよりも、この状況で何か言い訳できるのか。
この、完全に裏切ったようにしか見えない状況で。

('、`*川 …………




('、`*川

カチカチカチカチカチカチッカカカカッ!
カチッ!

ここで不可予知。
本日2度目。
ハインさんの時以来、見ていなかったが……ここで来たか。

('、`*川

上級だから、失敗しても失格にはならない。
ペニサスさんは躊躇わずに不可予知に挑戦する。

それは正しい判断なのだが、癪に障る。
その余裕は、僕らを裏切ったからこそ、うまれた余裕なんだ。
そのことを忘れないでほしい。




('、`*川

それでも彼女に殺意が芽生えるということは無かった。
仮に殺したとしても、仕方がないのだが。
戦力が減るだけ。

('ー`*川

それを分かった上で、上級を選んだのか。
次は彼女自身、初級か中級を選ばざるを得ないから。
次は皆にとって有益な行動しかできないから。


彼女を殺すことはできなかった。


彼女の「後回し」は、完全に成功だった。

('ー`*川

カチカチ




彼女はハイペースでマスを開いていき、最初のプレイ開始から4分足らずでクリアした。
ノーミスとはいかなかったが、この状況下でならば、かなり速い。

('、`*川 ふーっ、と。

「伊藤=ペニサス。上級クリアおめでとう」
「君たちに残されたランクは、初級1回・中級2回・オリジナル1回だ。」
「ゲームも終盤にさしかかってきたね。7人も残っているとは、予想以上だよ」

「だがクセモノが残っているじゃないか」

「君たちが無事に解放されることを、願っているよ」
「では、次のプレーヤーが決まるまで待っててくれ」

スピーカーからの声は、そこで途切れた。

そして皆の視線はペニサスさんの方へ。
皆の視線は裏切り者の方へ。




('、`*川 じゃ、言い訳を始めるわ。

( ゚∀゚)俺にお前を責める権利は無い。
    だから、お前の言い訳を聞く権利も無い。
    トイレにでも行ってくる

ジョルジュさんは木製のドアを開け、トイレへ。
部屋に残ったのは、ペニサスさんを含めて6人。

('、`*川 できればジョルジュにも聞いて欲しかったけど、まあいいわ。
     まず、何故私が上級を選んだのか。説明する

( ・∀・)保身だろ?
     ジョルジュの時と同じ

('、`*川 いいえ、違うわ。
     さっきも言ったけれど、私達のチームワークを乱さないように、よ。




( ・∀・)ハッwww本末転倒だよ。
     チームワークを乱さないようにするため、裏切ったのか?

('、`*川 逃げ場があると、ヒトはどうしてもそちらに逃げがちだもの。
     裏切る危険を皆が持つ前に、私が全ての責任を負ったの。

( ・∀・)結果として、お前は一巡目を確実に生き延びた。
     なぜか。それは上級を選んだから。

('、`#川 今の結果だけを見れば、の話でしょ?
     私は次からのことも考えてたの。

( ・∀・)たくさんの人が生きて帰るためには、上級は残すべきだった。
     実力の低い者に上級をやらせるべきだからな。

('、`#川 っ……

('、`#川 ……それは……




( ・∀・)一巡目、確実な保身のために、上級を残す必要があった。
     だから別の奴に上級をやらせる、という提案を出さず、自分がプレイした。

('、`;川………………

( ・∀・)違うか?

(;、; 川………………

( ・∀・)ヘッ、これだから女は……




す、すごい。
僕には、彼らの言ってる事の半分も理解できなかったけど、言いくるめた……
絶対の自信を持っていたペニサスさんを、モララーさんは2分足らずで言いくるめてしまった。




( ・∀・)だが安心しろ。
     お前をリンチにかけたりなんかはしない。

(´・ω・`)リンチ「できない」の間違いですよね

(・∀・ )…………

(´・ω・`)…………ですよね?

( ・∀・)まあ、ショボンの言う通りだ。
     ペニサスを殺したりしても、プレイヤーサイドは損するだけだからな。

( ・∀・)しぃがオリジナルをやった後、残るのは初級と中級。
     お前にこれを挑戦させない手は無い。

(;、; 川…………

( ・∀・)それをも見越して、あのタイミングで裏切ったのかも知れんが、もう良い。
      終わったことだからな








ペニサスさんが、僕の隣に腰をおろして、囁くように語りかけてきた。
涙声で、短い言葉だけを伝えてきた。

(;、` 川 私は………生きたい……

( ^ω^)皆、生きて帰りたいんですお

(;、` 川…………そっか、そうだよね……
    次は、皆のために中級をやるから

彼女は最後まで涙声だった。















(^、^*川(なんてね、初級と中級が残ってる状態で指名されたら、初級選んでやる!)

(^、^*川(つーかスピーカー、もう私を指名するなwwwwwwwww)

(^、^*川(あー、早く京都に帰って男抱きたいwww
      モララーは良い男だけど、もっと若いのが良いなwwwっうぇwww)

(^、^*川(うはwww妄想がひろがりんぐwwwwwwwwwww)








―17―





ペニサスさんの裏切りで、上級の3回分のチャレンジが、全て終わった。
これで僕らに後は無い。

未プレイ者は既にしぃさん一人のみとなった。
彼女が選べるのは、初級か中級か、またはオリジナル。







「次のプレーヤーは君だ。」
「箱捨=シィ」

シィ。
その名前は。

(*゚ー゚)私ね

これはもう分かり切っていたことだった。
最初10人いた中で、今までプレイしていないのは彼女だけだ。
だから次に彼女のプレイが来るのは当然だ。

「3分以内に着席せよ。」
「着席しなかったら、棄権と見なす」

精神安定剤ヴィプクオリティも受け取らずに、すぐに着席した。
僕らが声をかける暇も無かった。

(*゚ー゚)…………ん。座ったよ。




「ではランクを選べ」

(*゚ー゚)オリジナル。

しぃさんのプレイする予定だったランクはオリジナル。
マインスイーパの最大盤で、200の地雷を撤去せねばならない。
かなり、過酷な条件だと思われる。

「表示は?」

(*゚ー゚)…………

「表示はこのままXPで良いのか?」

(*゚ー゚)一つ、頼みがあるんだけど。

その切り返しは、スピーカー男にとって予想外のものらしく、返事が遅れた。
僕らも驚かされた。

「…………なんだ?ある程度なら聞いてやるが」

(*゚ー゚)私、別の部屋でプレイできないかな

その頼みも、スピーカー男にとって予想外のものらしく、返事がまたも遅れた。
僕らだって、また驚かされた。




「どういう意味だ?」

(*゚ー゚)オリジナルって、時間がかかるでしょ?
   だったら、誰かと同時進行でオリジナルを進めてた方が良くない?
   ミスが許されるオリジナルだから、「執行」が誰かと同時になって困ることは無いよ

「…………許可はできない」

(*゚ー゚)頭固いなあ。
    長い間わたし達を閉じこめたって、あなた達にもメリットなんて無いでしょ

「……シッコウニン…………フム……それもそうか…………いや、それでは公平性が……」

やや声漏れ。
マイクの感度が良すぎるのだろうか。
本人達は声が漏れているのに気付いていないようだった。

「ちょっと、時間をくれ」

(*゚ー゚)ん、良いよ

なるほど、しぃさんが提案したのは解放までの時間の短縮方法。
同時進行は、見るからに時間を取りそうなオリジナルに対して有効な方法かも知れない。
一刻も早く解放されたい僕たちには、ありがたい提案だ。




(*゚ー゚)ね、今もモララーさん達は発言しちゃいけないの?

「ああ、それはダメだ」
「プレイヤーが着席した時から、外野は発言権をとられるからな」

(*゚ー゚)ふーん

「今から執行人も交えて会議をする」
「そのため、やや時間が空く」

スピーカーからの声は、一旦それで途切れた。
マイクの電源が切られたのか、声漏れは一切しなくなった。

この案はぜひとも通したい。
この案が通れば、僕たちの解放はグッと近づく。
時間短縮も、精神的にはかなりの負担軽減となる。







およそ10分が経っただろうか、
正確な時間はよく分からないが、コンクリート部屋は長い沈黙に包まれていた。

その間に、周りの人の様子を観察していたが、特に目新しい発見は無かった。

( ・∀・)……
(('、`*州……
从;゚∀从……
(´・ω・`)'……
( う∀゚)…………ファ


あくびすんな、あくび。




「結論が出た」

しぃさんの時間短縮案は、認められたのだろうか。
次の言葉は意外なものだった。


「その意見を、認めるかどうかは、君たちに委ねる」


( ^ω^)……?

「箱捨=シィを含め、そこに残った7人で多数決をしてもらう」
「この案を通すか、通さないか」

「通したい者は起立しろ」
「通したくない者は床に座れ」
「決断にかける時間は3分。発言権は認めないままだ」

発言権が許されないのは、自分の一票は自分で悩め。ということだろうか。
しかし、こんなの決まっているでは無いか。
通すに決まっている。




その3分間で悩んでいる様子が見えたのは、モララーさんだけだった。
彼以外は、賛成か反対か、既に決めているようだった。

( -∀-)……

彼の考えていることは分からないが、ここで「短縮案を通す」以外の選択肢があるのだろうか?

( -∀-)…………

この短縮案にデメリットなど、無いはずだ。





Σ( ・∀・)!!!!



無いはずだ。……よな




(;・∀・)…………

モララーさんは、なにやら焦っているようにも見えた。
しかし、理由は分からない。
言葉を発せないから。ルール。縛りによって。

(;・∀・)

分からない。もどかしい。
何かあるのか?考えろ、考えろ。
考えて、この意見を通すかどうか決めるんだ。


「では多数決をとる」


それでも、時間はもう無かった。
考えがまとまらないまま、採決の時間になった。




「この案を通したい者は起立し、通したくないものは床に座れ」

まずしぃさんが椅子から立った。
続いてハインさんが立ち上がった。
さらにショボン君も立ち上がる。
これで3人。


たった3人?


ジョルジュさんと、ペニサスさんと、モララーさんは座ったままだった。
つまり、この案を通さないということか?

僕はというと、中腰で皆の様子をうかがっていた。


現在3対3。
僕の一票で決まってしまう。
そのようだった。




(;^ω^)(現状もっとも信頼できるモララーさんが座ってるから、そっちにつくべきかお?)

(;^ω^)(でも、僕が考える限りでは短縮策にデメリットなんて見あたらないお?)

(;^ω^)(だけど、冷静じゃない頭では、デメリットを見落としてるかも知れないお)

(;^ω^)(いや、短縮できる時間は、短縮するべきだお!)

(;^ω^)(そもそも裏切り者のジョルジュ・ペニサスが座ってるのが怪しいお)

(;^ω^)(ということは、モララーさんは、彼らと一緒になって、僕らを混乱させようとしてるのかお?)

(;^ω^)(ううん、そんなのモララーさんにとってもメリットは0だお)

(;^ω^)(モララーさんを信じるか、信じないか……)

思考が駆けめぐる。


「内藤=ホライゾン。君の意見で決まるようだが?」



( ^ω^)(…………よし、決めたお!!)




僕は足に力を入れ、立ち上がった。
しぃさんを信じた。

その時、誰かの舌打ちが聞こえた。
別の誰かがほくそ笑んだ気もした。


「4対3で、この案を通す意見が多いようだ」

(*゚ー゚)みたいだね

「では、箱捨=シィを別の部屋でプレイさせることにする」
「彼女が出て行くまでに伝えたいことを伝えろ」

( ・∀・)どのくらい時間をもらえる?

「1分だ。すぐに執行人が行くからな」




( ・∀・)お前、ソレが分かってて提案したのか?

(*゚ー゚)何が?

( ・∀・)…………チッ、

(*゚ー゚)…………

モララーさんの言う「ソレ」がどんなことを指しているのかは分からなかった。
どんなことであっても、既に手遅れだから1分という短い時間で言うべきでは無い。
彼が舌打ちによってこの話を切ったのは、正しい。

彼女が――理由はどうあれ――返事をしなかったのは、正しい。
この決断が失敗であっても、既に決定してしまったのだから。

ひとまず、彼女にオリジナルをクリアしてもらうために、
一分という短い時間で、僕らなりの助言や激励をしぃさんに投げかける。




从 ゚∀从オリジナルは死なないから、あまり気張らないようにしてくださいね。
    きっとクリアできますから

( ・∀・)不可予知に出会ったら、すぐに挑戦しろ。
     後回しにしたって、いつかは当たる壁なんだ。
     時間短縮の意味で「不可予知は先につぶせ」

( ^ω^)困った時は、頬に傷のある執行人に取り合ってみてくださいお
      他の執行人よりも権力がありそうですお
      何より、他の執行人よりも僕らに近い感じがしますお

(´・ω・`)とりあえず、ヴィプクオリティを渡しておきますね。
      残りの数には余裕があるので、5錠ほど渡しておきます。
      一日一錠、食前食後問わず、一錠です。水で流し込む必要はありません。

('、`*川 私が言えたギリじゃないけど、頑張ってね

( ゚∀゚)俺からは…………何も言えない。
    けど、次はやってみせる。だからお前も……

僕らの言ったことは、様々だった。
有益なことを言ったつもりだった。




鉄の扉が開き、しぃさんを連れ出すために5人の執行人が出てくる。

(メ^Д^)……箱捨=シィってのは?

(*゚ー゚)私です

(`・ д・´)執行長。予め確認していなかったのですか?

(メ^Д^)確認することは大切だ。
    七篠執行人もよく覚えておけ

(メ^Д^)では、行きましょうか。
    箱捨=シィさん。

(*゚ー゚)はい

鉄の扉が開き、しぃさんと執行人を合わせた6人が出て行き、扉が閉まる。
部屋に残った僕らの人数も6人。




「次のプレーヤーを決めるまで、発言権を認めよう」

部屋に残された6人の発言権は、認められた。
息の詰まるような時間は終わり、皆からため息が漏れた。



最初に口を開いたのは、ハインさんだった。

从 ゚∀从なぜ?

( ・∀・)……?……('、`*川

从 ゚∀从なぜ、時間短縮案に反対したんですか?
     早めに出られるに超したことは無いでしょう

案に賛成したハインさんが、案に反対したモララーさんに意見を求める。
やや、責めるような口調で。

( ・∀・)…………ああ、そっか。
    そうだな、説明がいるか……。




( ・∀・)説明するのは俺じゃないとダメか?

从 ゚∀从反対した人の中では、モララーさんの説明が一番信頼できますから。

ジョルジュさんとペニサスさんは何も言わない。
自らの裏切り行為が、どれだけ信用を失わせるものだったか、知っているのだろう。
ハインさんの皮肉がどの程度の痛みを与えたかは分からないが、いい気味だ。

从 ゚∀从で、理由は何ですか?
     意見が通った今、その理由を聞いてどうこうしようという気はありません。

( ・∀・)…………シィはこいつらと同じだよ。

モララーさんが視線を向けた先には、ジョルジュさんとペニサスさん。
意味が分からない。
しぃさんが、どういうふうに二人と一緒なのか。分からない。




从 ゚∀从どういうことです?

つまり?

( ・∀・)ジョルジュ・ペニサスと同じように、しぃは逃げたんだ。
    初級や中級から。

( ・∀・)オリジナルが、俺たち6人のプレイと並行して進むなら、指名されない。
     安全なオリジナルの家の中に籠もって、指名の槍から逃れてる。

从;゚∀从……あ……

あ……、そうか……それは……

( ・∀・)自分がオリジナルをやってる間に俺たちが初級・中級を終わらせることを期待してる。
    シィがプレイするのはオリジナルだけで済む。

从;゚∀从それじゃあ……

( ・∀・)ああ、シィにうまく騙されちまったんだよ、お前ら3人は。

( ^ω^)あ…………

間抜けな声が、僕の喉から漏れた。
好餌に食らいついた豚が漏らした、間抜けな声。




( ・∀・)しかし、中々の騙し方だった。
     「全体の」メリットだけを表に出し、さも自分が犠牲になるかのように振る舞う。
     デメリットに関しては一切口に出さなかったな。
     これだと反対意見も出にくいだろうな

(;^ω^)なんで……しぃさんは僕らを騙したんですかお

( ・∀・)なんで、って……そりゃ、自分が確実に生きたかったからだろ。
     さっきも言ったが、オリジナルをやり続ければ絶対に残れるからな。
     他人のために初・中級をやる、なーんてリスクを冒さないですむ。

(;^ω^)……う…………しぃさ……ん…………

出会って数時間の人間を、信用しすぎたというのか。
僕が愚かだったのか。
立ち上がってしまった僕は、愚かだったのか。

奴は、ただの卑怯者だった。
僕らを騙した、裏切り者だ。




从;゚∀从なんで、お二人は気づけたんですか?

ハインさんが、別の質問をぶつける。
今度はジョルジュさんとペニサスさんに。

( ゚∀゚)…………
('、`*川…………

二人は黙っていて、答えようとしない。

从#゚∀从……なんで、気づけたんですか?

語気を荒げる。
それでも彼女の行動は、八つ当たりに他ならない
シィに騙された悔しさを、ジョルジュさん達にぶつけているだけだ。




( ・∀・)おいおい、ハイン。そりゃ気付けなかった奴の口調じゃねーな。

そこに割って入ったのは、モララーさんだった。
そして解説を始めた。

( ・∀・)二人とも騙す側だから、騙す人間の心理が分かったんだよ
      俺と同じように、しぃの思惑が読めたんだろ

初級や中級をやると言って、安全な上級に逃げた詐欺師だから。
卑怯者だから、卑怯者の考えを読み取れた。
同類だから、裏切り者の考えが解った。

从#゚∀从なら、彼らと同じく気づいてしまったモララーさんも騙す側ですか?
     いつか私達を裏切るのですか?

苛立っているのだろうか、かなり失礼で踏み込んだ質問だ。
躊躇う様子もなく、彼女はそれをモララーさんにぶつけた。




( ・∀・)…………俺は騙す側の人間か、だと?……





























( ・∀・)さあな、自分の目で見極めなよ




ハインさんはその答えに満足していないようだったが、それ以上の追求をやめた。
無駄だと解ったのだろう。
それに、中級をクリアした人に向かって文句が言えるはずがない。

( ・∀・)それに、お前自身、文句言える立場じゃないだろ?

从#゚∀从…………チ

上級をやった人間だから。
裏切りという形で無いにせよ、一巡目を100%安全なランクで切り抜けた人間だから。
彼女は何も言えなくなった。



とにかく、シィの裏切りによって「一巡目」は終わったのだ。
オリジナルのプレイはまだ終わっていないけれども、彼女は指名の枠から外れた。
残った人数は、6人。

最初、この部屋には10人の人間がいた。
しかし、クーさん・ドクオさん・モナーさんが居なくなった。
そしてシィ。彼女もこの部屋から消えた。

( ^ω^)減ったお……




(´・ω・`)……減りましたね

( ゚∀゚)だけど、4人減っただけで7つも消せたんだぜ?
    余裕じゃね?

(´・ω・`)初級・中級だけなら成功率は5割です

( ゚∀゚)…………そっか

そう、この人数は上級があったからこそ。
実際に初級や中級にクリアしたのは3人だけ。

残ったランクは、初級1回と中級2回。
5割という成功率が、あまりに低く感じる
単純に考えてあと3人は減るのだから。




6分の3が死ぬ。
これはあまりに絶望的な予測だった。

さらに言えば、僕らがクリアしたのは初級が2回と中級が1回。
残っているのは中級が2回と初級が1回
死ぬ人数は更に増えると思われた。

箱捨=シィ。彼女が残っていれば、僕らの死亡確率は分散されたことになっていた。
一人一人の生き残る可能性は、上がったのだ。
シィが、初級や中級をクリアしたかも知れないから。

モララーさんが言ったのは、そういうことだろう。
これも中々、残酷な発想だった。
「死ぬ危険のあるランクをやれ」ということだから。

しかし、シィの方が許せない。
リスクをまったくの0にしてしまった女。




今、彼女はオリジナルをのうのうとプレイしている。
誰かが失敗し、死んでしまおうと、シィは安全なプレイを続けるのだろう。
画面の中のバーチャルマインスイーパを。

これから、僕らは初級・中級を必死にプレイする。
誰かが、失敗して死んでしまう恐怖を抱えながら、プレイする。
現実の地雷除去を。



箱捨=シィ。
第三の裏切り者。

お前はあまりに卑怯だ。

















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