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2009.05.2800:17

30歳童貞男「ルイーダさん…俺の派遣登録が無いんですが…」【仮想世界編】





男「ああ・・・神よ・・・俺は一体何をしたというのだ・・・?」

男「俺は・・・何でこんな目に会わなければいけなかったんだ・・・?」

男「俺はただ生きていただけなのに・・・ただただ生きていただけなのに」


?「分離に成功したみたいだな」

?「僕の声が聞こえるかい?」

男「え?」




?「戸惑うのも無理は無いね」

?「君は今、意識だけしか存在していないから」

男「あなたは?神様なのですか?神様なら教えて下さい!」

男「俺はなんでこんな目に遭わなければならなかったんですか?」

男「俺が生きてた事は全て無意味だったのですか?」

男「教えて下さい!神様!お願いです…教えて下さい…」



?「ちょっと待ってくれよ(笑) うーん、どう説明したら良いかな…」

?「僕が管理しているシステム、いや『世界』が停止してしまってね」

?「それで原因を調べていたら君だったのさ」

男「それって…俺は世界にとっても邪魔者だったって事ですか?」

男「俺は…俺は…」

?「説明はまだ終わってないよ(笑)」



?「君が『世界』にとって不要な存在だったら分離しないで消去してるよ」

?「ただ君を今の状態のままにしておくと『世界』が停止したままになってしまうからね」

?「やむをえず君を『世界』から切り離した状態にした訳さ」

?「本来なら君は死んだ後で『世界』によって自動的に初期化されるはずなんだけど」

?「その初期化プロセスが何故か停止してしまったんだよね」

男「…あの…言っている事が何が何だか…その、ちんぷんかんぷんで…」

?「ああ、済まない」

?「僕が言ってる事が理解出来るように君の意識領域に直接情報を転送しよう」

?「ちょっと気分が悪くなるかも知れないが辛抱してくれ」



?「どうかな?意識だけの状態だから大丈夫だとは思うけど」

男「…はい…大丈夫です」

男「つまり俺は仮想世界でシミュレートされた仮想人格だったんですね」

男「そして俺は本来なら初期化されて新しく生まれ変わるはずだった」

?「そう。但し完全に初期化ではなく前に生きたパラメータを少しだけ受け継ぐ様にしてあるけど」

?「どういう訳か君は初期化されなかった」

?「そこで例外処理が発生してシステムが停止してしまったのさ」


男「でも…でも何故あんな酷い世界を作ったのですか?」

?「君がいた『世界』はね、悲しい事に僕の居る世界の模倣なんだよ」

?「魔法が実在する世界で僕たちみたいな機械文明が発展するか」

?「それをシミュレーションする為に僕の居る世界の中世をモデルに作ったんだ」

?「君たちの時間で500年、機械文明の進歩は見られなかった」

?「それどころか人間同士が覇権を争う状況が頻出してね。大規模な魔法戦争で世界が滅んでしまった」

?「そこで魔王という圧力を導入して人間が結束出来るか再度シミュレーションした」

?「それが君が居た世界だ」

男「そうだったんですか…ところで神様にお聞きしたい事があります」


男「俺が死ぬ前から『世界』をやり直す事は出来ますか?」

?「シミュレーションをそこまで戻すには時間がね…」

?「『世界』を再始動させてから君の時間で既に300年程経過している」

?「最初からやり直す以上の手間がかかるんだよ」

観「僕は君から見たら造物主だけど万能じゃない。神様と言うより観察者だね」

観「僕は『世界』に存在する個々の人格に直接干渉する事は無いし観察する事も無い」

観「もし僕が個々に観察し下手をして感情移入してしまって干渉したりしたら」

観「正確なデータを得ることは出来ないからね」

男「それじゃ勇者と幼なじみは?俺のかぁちゃんは?皆救いが無いままなんですか?」

観「厳しい言い方かもしれないが君の要望は受け入れられない」

観「コストの問題もあるけど…僕の世界ではね魔法で生き返るなんて無いんだよ」

観「輪廻転生を信じている人も居るけど客観的に証明されていない」

観「人生は一度きりでやり直しは出来ない」

観「それでも途中まで君みたいな人生を送る人間も大勢いるけどね…」



男「それじゃ俺はこのまま初期化されて『世界』に戻されるんですね…」

観「うんまあその事なんだけどね」

観「君の死んだ後で初期化不良のトラップポイントに勇者、幼なじみ、幼なじみの子供」

観「そして君のお母さん、その他にも大勢入って来てね。それぞれ分離しておいたんだよ」

観「こうして話している間にも、君を中心に解析させて貰ってたんだけど」

観「全員、特定パラメータがオーバーフローしている事が分かったんだ」



男「え?どういう事なんですか?」

観「つまり君たちをこのまま『世界』に戻しても再び同じ例外処理が発生する可能性がある」

観「このままでは君たちを『世界』に戻す事は出来ない」

観「かと言って『世界』の重要な構成要素の君たちを消去する事は尚更できない」



観「そこでだ男君、君の意志を確認したいのだが」

観「初期化される事を望むかい?」

観「それとも今の意識を持ったまま『世界』で生きたいかい?」

男「え?俺が決めるんですか?」

観「そうだよ君が決めるんだ」

観「仮想人格とは言っても君は意思を持った人間と変わりは無い」

観「僕たちから見れば羨ましいとも言える選択だけどね」



男「俺は…俺は…」

観「焦らなくてもいいよ。準備に少し時間がかかっているから」

観「そうそう。君の決断が他の分離された人達の運命を握っていると言っても過言じゃない

観「言うなれば君は分岐条件みたいな存在なんだ。じっくり考えて欲しい」

男「そんな?こんな俺が皆の運命を?」

観「そうだよ」

観「僕は準備作業があるのでこれで失礼する」

観「君にとって時間は無限と言って良い程あるから」

観「結論は急がなくて良いよ」



男「俺は…本当は何がしたかったんだろう…」

男「観察者の言う通り仮想世界での仮想人格だとしても」

男「俺は確かにあの『世界』で生きてきた…」

男「…いや本当に『生きて』きたと言えるんだろうか?」

男「何も変化しない日々…いや変化させようとしなかった日々…」

男「そのせいでかぁちゃんや勇者、幼なじみは…」

男「…」



観「結論は出たようだね」

男「はい。今の意識を持ったまま『世界』で生きたいです」

観「そう言ってくれると思っていたよ」

観「実はね『世界』に新しい環境を構築していたんだ」

観「『世界』の果てに大陸を形成したんだ」

観「そこでは魔法や呪詛の類は一切使えない。魔王の力も及ばない」

観「僕たちの世界と条件はほぼ一緒だ」




観「男君、君はそこに肉体を持って今の意識を持ったまま再生される」

観「生きて行くための知恵は意識領域に転送しよう」

観「それと君のアニマを元に新しい女性人格を生成した。彼女は大人の状態でそこに誕生する訳だ」

観「君と彼女は伴侶となり子孫を作って行く」

観「勇者も幼なじみや君のお母さん、その他死後に「無念」のパラメータ異常を起こして死んだ人たちは」

観「逐次初期化されて君の子孫として再導入されていく」



観「君が『無念』のパラメータ異常を自力で修正出来ない限り他の人の『無念』パラメータ異常はそのままになってしまう」

観「君達夫婦と君の子孫は5代後まで長寿長命のパラメータを設定しておこう」

観「君の住む大陸名はEast Of Eden、僕たちの世界の神話で原罪を犯した最初の男女が神に追放された場所にかけている」

男「俺は…やっぱりそれだけの業を背負っているのですか…」

観「いや僕なりの皮肉だよ。知恵の実を食べ楽園を追放されたからこそ人類は進歩出来た」


観「再生の際、僕の存在や僕との会話は君の記憶領域からは消去しておく。ただ…」

男「ただ?なんでしょう?」

観「誰かがいつも君たちを見守っているって事だけは憶えておいてもらうよ」

観「生まれて来る子供達は君のお母さんや幼なじみ、勇者、その他『無念』を残して人生を終えた人々だ」

観「その人たちの『無念』を昇華させる君と君の伴侶の責任は重いよ」

男・女「はい!」

男「え?」

観「あはは(笑)驚かせて済まない。君のアニマから生成した女性人格だよ」

女「男さん、よろしくお願いしますね」

男「え?いやあのその…よろしくお願いします」

観「それじゃ準備も整ったから再生作業に入る。君たちの感覚では一瞬だ」



~数年後~

女「ねえ」

男「なんだい?」

女「あなたってブサイクだよね(笑)」

男「そりゃ死んだオヤジとかぁちゃんの悪いとこばかり受け継いじゃったからな」

男「でもなブサイクって言われても前回生きていた時みたいな無力感が湧いて来ないんだ」

女「どうして?」

男「そりゃ傍らにこんな可愛い女房はいるし」

長男「とうちゃーん!何してるの?早く畑に行って麦刈ろうよ!」

長女「かあたん、とうたん、らびゅらびゅしてゆの?」

女「今行くから急がないでー!かあさん3人目がお腹にいるんだから(笑)」

男「可愛い子供達にも恵まれてるし。気力体力使わないと家族養って行けねぇ(笑)」

男「長男と長女は絶対に勇者と幼なじみだ。俺はそう信じる」

女「今度生まれてくるのはお母さんかもね♪」

男「だといいな。かあちゃんは憶えてないだろうけど、親孝行ができるんだ…」



女「あなた、泣いてるヒマはないわよ(笑)」

男「そうだな(笑)よーし!今日中に刈り取るぞ!」

長男「とうちゃん!明日は狩り行くの?漁行くの?どっち?」

男「(なんかアイツの小さい頃そっくりだな)まずは麦の収穫してからだ」

長男「えーっ?僕、狩りに行きたいなー!だめ?」

男「ダメダメ(笑) 麦の収穫終わったらいつでも連れていってやるから」

男「(ぼんやりとだけど誰かに言われた気がする)」

男「(俺はこいつらを幸せにする義務と責任があるんだ)」

男「(死ぬ時に後悔しない為に!)」

男「(誰か忘れたけど、俺は今元気で幸せに包まれて生きている。見ててくれるか?)」

女「あなたー、どうしたの?早くー!」

長女「とうたんおしょい(わら)」

男「あ、悪い悪い(笑) 今行くよー!」



おわり

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